中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第140回
自動車株は高級外車メーカーに絞れ

中国の自動車工業協会のデータによると、
今年10月の自動車販売台数は
前年同期比1.07%減の152万4800台と伸び悩み。
その内訳は自家用車が1.42%の増、
商用車が9.93%の減となっています。

エコカー補助金制度の取消などがあったものの、
根強い需要に支えられ自家用車の販売が堅調だった一方、
商用車は大型トラックを中心に
需給バランスがややルーズになっています。
ちなみに1−10月期の販売台数は自家用車が
前年同期比ベースで5.8%の増となっているに対し、
商用車は5.2%のダウンとなっています。

中国のR値
(乗用車価格と1人当たりGDPの相関家計を示す数値)は
今後も3−5の範囲内に収まると予想され、
日本や韓国などのデータなどから、
中長期的に安定成長を遂げると予想されますが、
(1)北京市で実施された新車の購入制限措置が
他都市にも導入される可能性があること、
(2)多くのメーカーの新プラントが今年から来年にかけて稼働、
生産量(供給量)の増加により、
市場競争が一段と激しくなるとみられること、
などの懸念材料もあるため、
自動車セクターの投資評価は「ニュートラル」に。

このセクターから銘柄選択を行う場合、
『ブリリアンスチャイナ』(01114)など、
高級外車の販売に特化したものに的を絞るようにしてください。

<参考銘柄>

■『ブリリアンスチャイナ』(01114):
「BMW」の利益貢献が拡大
瀋陽を拠点とする自動車メーカー。
『トヨタ』の技術供与を受けた「ハイエース」
(中国名:金杯海獅)など
ミニバン、高級セダン「中華」を主力としています。

香港上場は1999年10月で、NY証券取引所にも上場。
03年10月には独『BMW』(宝馬)との
合弁会社(出資比率49%)から、
「3」「5」シリーズの生産を開始しています。

2011年の中間決算では売上高こそ減少したものの、
純利益は前年同期比85%の増と好調。
「金杯」ブランドのミニバンの販売は苦戦しましたが、
「BMW」からの利益貢献が同190%増の
8億3200万元と大きく膨れたことが寄与しました。
製品構成の改善などが奏功し、
同期の「BMW」の販売台数は68.8%増の
5万5000台に達しています。

金融引き締めなどの影響もあり、
「金杯」の販売台数は引く続き低迷しそうですが、
富裕層を中心に高級車志向が高まってきていることから、
「BMW」は販売好調を維持しそうです。
現地工場の稼働で本格的に市場投入される
小型SUV「X1」も利益に貢献するでしょう。
今後の業績と株の推移に注目です。


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2011年12月23日(金)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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