中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第141回
政府の内需拡大政策が追い風となるデパート業界

今年9月における中国の社会消費品小売総額は
前年同期比17.7%増の1兆5800億元と、
その伸び率は8月実績を0.7%上回りました。
1−9月期のCPI(消費者物価指数)の上昇率は
平均で5.7%と、08年以来の高水準となりましたが、
肉類や野菜など食料品価格の上昇に歯止めが掛かりつつあるため、
今後の上昇率は鈍化するとみられます。

また、中央政府は「十二五計画」
(第12次5カ年計画、2011-2015年)において、
15年までに、社会消費財の小売総額を10年の2倍、
30兆(約360兆円)以上にすることを目指す、
と初めて明確に数量化された目標値を設定。
同時に都市部住民の可処分所得と農村部住民の純収入について、
増加率7%以上という目標を打ち出しました。

2010年の中国の消費財の小売総額は
15兆7000億元(約188兆4000億円)でしたから、
今後5年間で30兆元以上にするには、
毎年3兆元(約36兆円)ずつ増加させることになり、
その分、消費市場の規模は大きく拡大することに。
また、国民の可処分所得が年7%のペースで増加すれば、
10年間で中国人の所得は倍増することになりますから、
中国の小売市場はこれからも拡大基調を続けそうです。

デパートなどの小売業者は、
駅前など集客力に優れる地域に大型店舗を建設するものの、
実際の商品の販売は出店するテナントにまかせて、
その売上から一定の手数料(賃料)を徴収する形態を取るため、
原材料コストの動向などに収益が
それほど左右されないことが強みです。
出店ペースを加速させている
『銀泰百貨』(01833)などの株価に注意してください。

<参考銘柄>

■『銀泰百貨』(01833):
浙江省を基盤にデパートを経営。
2011年3月末時点の保有店舗数は23店です。
同社は最近、『浙江中鉄不動産集団』と
杭州市の東部に位置する「城東新城」を共同で開発すると発表。
同プロジェクトは2013年の竣工を予定しており、
完成すれば杭州市では10件目、
浙江省では26件目の店舗となります。
杭州市の人口は約870万人で、
GDP成長率はここ数年10%以上に達するなど、
浙江省きっての経済都市です。

同社はこれ以外にも浙江、安徽、北京、陝西、湖北、
内モンゴルなどにも出店計画を持っており、
2011-14年にかけて順次開業する見込み。
今後の業績に厚みを加えそうです。


←前回記事へ

2011年12月26日(月)

次回記事へ→

当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ