中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第149回
『中国再生金属』と『斉合天地』

金属リサイクルの関連株として、関連銘柄としては、
香港には、『中国再生金属』(00773)
『斉合天地』(00976)が上場しています。

このうち、『中国再生金属』は業界シェアトップの民営企業。
広東省、香港などにリサイクル拠点を設置しています。
主要顧客は中国の大手鉄鋼・非鉄金属メーカーで、
国内外から買い取ったスクラップから各種金属を選別。
顧客の要望に応じた再生金属を生産し、販売。
華南地方を主力市場とし、
華東、華北などへの本格進出も加速させる方針です。

一方、『斉合天地』は北米やヨーロッパ、オーストラリア、
東南アジアなど、世界各国からスクラップを輸入。
浙江省の台州市や寧波などの生産基地を構えており、
年間の生産能力は約100万トンとなっています。

ただ、会社資料などをみると、
同じ業種でもかなり規模が違い、
2010年の売上構成比をみると両社とも
非鉄金属が7割以上を占めていますが、
その規模の売上高をみると、
『中国再生金属』の225億818万香港ドルに対して、
『斉合天地』は59億3159万香港ドルと4倍に近い開きがあります。

収益規模にも大きな差があります。
昨年の純利益をみると、
『中国再生金属』の8億8656万香港ドルに対して、
『斉合天地』は3億5280万香港ドルに過ぎません。

『中国再生金属』などの
EBITマージン(EBITDA÷売上高)は7.3%と、
海外に上場する関連企業の平均6.3%を上回っていますから、
立派なものです。
ただ、『斉合天地』のROA(純資産利益率)なども9.6%と、
『SMIS金属管理』の4.1%や
『Schnitzer Steel Industries』の6.0%に勝っていますから、
中国企業の収益力は高いといえるでしょう。

前回、お話したように、
中国におけるリサイクル金属の生産量は
大きく伸びていく見通しですが、
新興産業のゆえに企業密度は低く、
最大手の『中国再生金属』にしても
その採算能力は200万トン程度で、
市場シェアも3%ほどしかありません。
従って今後は生産ラインの拡充ももちろんですが、
M&Aを中心とした業界再編が主流になっていくでしょう。

この2社についていえば、
沿海都市に加工向上を持つことは同じですが、
『中国再生金属』が広州を基盤に華東地域に進出しているのに対し、
『斉合天地』は北京、天津、煙台など
華北地域に目標を定めて版図を拡大しています。


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2012年1月23日(月)

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
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