中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第154回
NY上場の『ラスベガスサンズ』の子会社『金沙中国』

今回は『金沙中国』(01928)に着目してみました。

中長期的な発展余地は
まだ大きいとされるマカオのカジノ業界で、
確固たる地位を築いた同社が
どのような経営戦略を立てているのか少し、探ってみましょう。

『金沙中国』はニューヨーク上場の
『ラスベガスサンズ』の子会社で、
カジノ施設に加え、コンベンションセンター、
ショッピングセンター、レストランなどの施設も提供。
「ベネチアン・マカオ」「サンス・マカオ」
「プラザ・マカオ」のほか、
「フォーシーズンホテル」などを擁しています。

2011年6月末時点における
ホテル客室数、カジノテーブル数、スロットマシン台数は
それぞれ3439室、1135卓、3388台で、
カジノ部門の市場シェアは『マカオ博彩』(00880)についで
2位に付けています。

また、同社の新しい収益の柱となることが期待されている
コタイ地区の第5、6区の開発プロジェクトは、
金融危機の影響で一旦、凍結されましたが、現在は再開。
同プロジェクトは「シェラトンホテル」や
MICE(会議、展示場)施設などを備える予定で、
完成の暁には客室2万室、MICE施設160万平方フィート、
ショッピング施設200万平方フィートを擁する
総合リゾートとなる見込みです。

2010年のマカオのカジノ収入は
前年同期比57.8%増の1883億 4300万パタカで、
これは本場ラスベガスの4倍の規模。
昨今の金融引き締め策の影響などもあり、
そろそろカジノ景気も頭打ちでは、との観測もありますが、
中長期的な発展余地はまだまだありそうです。

マカオのカジノ収入は確かにラスベガスを抜いて
世界1位になりましたが、
同地を訪れる旅行客の1人当たりの滞在に日数をみると、
ラスベガスの3.6日に比べ、マカオは1.5日と短くなっています。
この現因としては宿泊施設のキャパシティが
ラスベガスの5分の1程度しかないことや、
カジノ以外のレクリエーション施設が少ないことなどが
挙げられていますが、これらを解消すれば
まだまだ収益を伸ばす余地はあるとみられています。

だからこそ、『金沙中国』を始め、
大手のカジノ企業はこのところプロジェクトの開発ペースを
ふたたび加速させているのです。


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2012年2月10日(金)

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