中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第175回
『国薬控股』の躍進を支える官民一体のバックアップ

WHOの統計によると、2006年における
中国の保険関連商品の消費額は1215億米ドルで、
2兆102億米ドルとなったアメリカの16分の1以下。
1人当たりの消費額をとってもアメリカの6714米ドルに対し、
中国はわずか92米ドルと、その差は明らかで、
今後も中国の医薬・保険市場は
年20%近い成長を続けるとみられます。

また、2009年の上場以来、
推し進めている同業他社の買収(M&A)も
『国薬控股』(01099)の収益に
厚みを加える大きな要素となっています。

同社は2009年から10年にかけ26億8400万元を投入し、
『国薬控股河北』、『上海盛泰医療科技』、
『南京国盛連鎖薬店』など31社の権益を買収。
その後、2011年上半期にも
さらに24億9700万元を投入し、27社を買収しました。
現在、中国には1万3000社の医薬品販売会社が
存在するとされますが、トップ3の合計シェアは27%と、
アメリカの90%などと比べると非常に低いため、
業容の拡大余地は膨大とされます。

同社がわずか3年未満の短い期間に
これほど多くのM&Aを成功させた背景には、
親会社の強力なバックアップがあります。

まず、筆頭株主で同社の35.4%権益を保有する
『中国医薬集団総公司』は
「国有資産監督管理委員会」(国資委)の直属企業です。
国資委は有力国営企業を管理する組織で、
役員・経営陣の任命、株式や資産の売買などに
大きな影響力を持っています。

また、第2位の大株主(権益比率30.4%)である
『復星医薬』(上海A株:600196)
中国でも指折りの医薬品メーカーで、
1999年に上海A株に上場して以来、
13年でその純利益は13.6倍に拡大。
時価総額も200億元に達しています。

『復星医薬』の親会社は
香港に上場するコングロマリットの『復星国際』(00656)
『復星国際』は上海の名門大学『復旦大学』OB4人が創設した
大学発ベンチャーの先駆け的存在で、
中厚板生産で中国最大規模の『南京鋼鉄聯合』を軸に
鉄鋼事業を行うほか、
『復地集団』を通じて、不動産開発なども手掛けています。


(次回につづく)


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2012年4月23日(月

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