中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第178回
ディーラーの店舗数は30%前後のペースで増加

『宝信汽車』(01293)の2008−10年の業績をみると、
売上高は37億元から、77億元に年平均44%のペースで拡大。
稼ぎ頭である新車販売部門の収入比率が
90.1%から92.9%へ拡大したことなどから、
昨年上半期の売上高は前年同期比100%増の52億元に達しています。

高級車の販売比率が向上したことから
売上高総利益率が8.91%から9.91%に向上したことを受け、
純利益も5750万元から、3億770万元に急増。
11年6月末時点における純利益は同63%増の
2億1390万元となっています。

上場目論見書によると、
同社は2011−14年にかけて14店のディーラーを出店する予定。
これにかかる資本支出は4000万元から1億元が見込まれますが、
1店当たりのディーラーの年間収益が
およそ3億5800万元であることから、
投資コストの回収期間も2.9−6.9年と比較的短くなっています。

また、上場による調達資金の80%は「BMW」を販売している
中核子会社『上海宝信』の権益の買い増しや、
同業他社の買収などに充てられるため、今後5年間、
ディーラーの店舗数は30%前後のペースで
増加すると予想されます。

中国における新車購入はキャッシュによる一括払いがほとんどで、
高級輸入車は供給量が需要に追い付いていないため、
納車まで2−3カ月待ちは普通だが、
せっかちな中国人の富裕層はこれを嫌って、
さらに5−10万元のエクストラを払い、
在庫を抑えようとしますから、資金繰りに問題はありません。
昨年9月末の時点で同社は
4億1400万元の手持ちキャッシュを持っています。

2011年の純利益は前年同期比95%増の6億元に達する見込み。
予想EPS(1株当たり利益)は0.237香港ドルで、
公募価格の8.50香港ドルから算出される
PER(株価収益率)は29.2倍と、
『中升控股』(00881)、『正通汽車』(01728)、
『大昌行』(01828)などの
平均PER15倍より高い水準ありますが、
『JPモルガン』や『モルガンスタンレー』など、
外資証券は店舗網の拡充によるスケールメリットの向上、
販売車種の改善による収益率のアップなどを受け、
2011−13年における同社の増益率が90%以上を維持するとし、
投資評価を「オーバーウエイト」としています。

前述の通り、業容拡大にともない資金需要も旺盛なので、
有償増資などには注意が必要ですが、
今後の成長性を買いたいところです。


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2012年5月4日(金

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