中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第179
中国における加工肉製品の販売比率はわずか13%

中国企業の2011年決算発表も一巡したので、
今回から恒例のセクター&銘柄分析をふたたびスタートすることに
第1弾は「食品セクター」をピックアップし、
直近の経営データやアナリストレポートなどを基に、
業績見通しなどを占ってみました。

メラニン混入事件など、相次ぐ不祥事によって
大きく揺れた中国の食品業界。
先行き見通しの不透明感から、
関連銘柄の株価も押し並べて調整していますが、
なかにはファンダメンタルズ以上に売り込まれたものもあるため、
今後の業績次第では、大きなリバウンドが望めるかもしれません。

まず、乳製品部門からみると、
特徴として生産能力集中度が高まっていることが挙げられます。
『蒙牛乳業』(02319)、
『伊利股フェン』『光明乳業』などの3大メーカーの業績は
過去の飛躍期を経て、現在は安定成長期に入りつつあるため、
収益の伸びは限定的なものになりそうですが、
(1)原材料である生乳価格が落ち着いていること、
(2)ヨーグルト、低温殺菌牛乳など、
高付加価値製品に対する需要増、

などを受けて、今後も堅調な伸びが期待されます。
この業界は不祥事で落ち込んだ企業イメージを
いかに回復させるかが焦眉の急ですね。

一方、食肉業界については、
消費量の半分以上を占める豚肉の価格推移が
引き続き各企業の収益のカギとなりそうです。
一般的に繁殖用母豚の育成には18カ月かかることや、
価格のサイクルが3−4年であること、などを考慮すると、
2010年から始まった価格上昇も、
出荷量の増加などにともなって、今年第2四半期から徐々に低下へ。
関連メーカーのコスト増加にも一手の歯止めがかかりそうです。

また、製品別ではコールドミートなど
低温加工製品の人気が高まりそうで、
現在、同製品が精肉製品に占めるシェアは
わずか5%であることなどを考慮すると、
その需要は今後、年間30−50%のペースで増加しそうです。

中国における加工肉製品の販売比率は13%と、
欧米諸国の30−40%に比べればまだ低位にあるため、
今後の市場拡大の余地は膨大。
また、トップ3社のシェアも8.8%に過ぎず、
生産能力集中度が低いことを受け、
中央政府が大手を中心とした業界再編を推奨していることも、
『雨潤食品』(01068)などの追い風。

中央政府が衛生面の強化や生産効率のアップを目的に、
“十二五計画”(第12次5カ年計画、2011−2015年)において、
老朽化した屠殺場の閉鎖を加速するとしていることも
プラス要因になるでしょう。


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2012年5月7日(月

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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