中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第180回
当局の規制強化は食品大手に追い風

飲料部門における注目はやはりワインでしょう。
ここ数年の販売量は所得水準の向上や
ヘルシー嗜好の高まりなどを背景に、右肩上がりが続いていますが
(1)1人当たりの消費量が世界平均の6分の1であること、
(2)健康志向の高まりなどを受けて、
伝統的な中国酒である「白酒」のシェアを奪っていること、

などを背景に、今後も高い伸びが期待されます。

『中国食品』(00506)など上場企業を中心に、
海外の優良なワイナリーの買収が進んでいることも、
この傾向を後押しする要因です。

また、お茶やジュースといったソフトドリンク、
インスタント麺、スナック菓子についても触れておくと、
需要増を背景に、各メーカーの売上高は
今後も20−40%のペースで増加しそうですが、
『康師傳』(00322)、『中国旺旺』(00151)など、
関連銘柄の現在の株価水準はやや割高であるため、
安易な追従買いはお薦めできません。

粉ミルクのメラニン混入事件、
“痩肉精”(塩酸クレンブテロール、
サルブタモールなどを含む化学薬品)の使用問題など、
このところ中国の食品業界では不祥事が続発。
問題を重視した当局はこのところ規制を強化していますが、
これらは製品開発力や
技術力の劣る中小メーカーの淘汰を促すため、
中長期的にみれば香港に上場する大手メーカーに
有利に働くとみられます。
業績の推移など吟味しながら、
優良株の押し目を狙いたいところです。

<参考銘柄>

■『雨潤食品』(01068):
前身は1993年に設立された『南京雨潤肉食品』。
拠点の南京を中心に、北京、広州、新疆などで
豚肉を専門とした冷蔵肉、冷凍肉、加工肉製品の
製造・販売を手掛けています。
製品は「福潤」「雨潤」「旺潤」「大衆肉聯」の4ブランドを通じて、
800種類以上の製品を全国30省市で販売。

“痩肉精”事件の余波や価格高騰を受けた
食用豚の解体処理数の減少などから、
昨年の純利益は前年同期比34%のダウンとなりましたが、
(1)豚肉価格の下落、
(2)消費者マインドの改善、
などを受けて、今後は販売量が回復。
これに従い収益も徐々に右肩上がりに回帰するとみられます。

同社は2015年までに食用豚の解体処理能力を
7000万頭/年まで拡大することを計画していることも、
収益に厚みを加える要因となりそうです。

現在の同銘柄の2012年予想PER(株価収益率)は
6.72倍と、セクター平均の21倍を大きく下回っているため、
長期的な投資価値は高いのではないでしょうか。


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2012年5月11日(金

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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