中国投資の羅針盤・阿部享士

阿部享士さんがご案内します

第186回
中国のインターネットサービス大手『騰訊控股』

■オンラインゲーム&動画配信サイト:
中国におけるオンラインゲームの普及率は
すでに6割以上(2011年上半期は64.2%)に達しているため、
今後の伸びは限定的とされますが、
3Gネットワークの拡充にともなうスマートフォンや
タブレット型端末の普及に従い、
携帯ゲームが新たな収益源になりそうです。

このところの競争激化で大手を中心に
業界再編が進んでいることも、
香港の上場企業などには追い風。
業界トップの『騰訊控股』(00700)などに注目です。

動画配信サイトに関しては
広告収入などが安定して増加している一方、
コンテンツの著作権使用料などの資本支出がかさんでいるため、
短期的な収益見通しは依然、厳しいものがありますが、
下記の諸点から長期的な展望は明るいといえそうです。

1.2011年初頭に『優酷』(YOUKU)、
『土豆』(TUDOU)などの大型動画サイトがNY市場に上場し、
業界全体のブランド効果が徐々に現れ始めたこと。

2.放送映画テレビ総局が打ち出した
「限広令」(ドラマ放映中のCM制限)と
「限娯令」(ゴールデンタイムの娯楽番組放送における
コマーシャルは最多で3回までに制限)により、
広告代理業者が5−10%の予算をテレビから動画に移していること。

『UBS』は最新のレポートのなかで、
現在、60億元に達している中国の動画サイトの売上高が
近い将来、100億元以上まで増加するとしています。

■ソフト及びデータ処理:
工信部のデータによると、
2011年1−10月のソフト産業の総売上高は
前年同期比32.9%増の1兆4970億元と、高水準を維持。
医療、地理・測量、交通、
スマートシティ建設(電気、水、通信、交通、建物、
行政サービスなどの生活インフラ全体を垂直統合して、
より効率的な都市のあり方を実現するというもの)、
ITS(高度道路交通システム:最先端の情報通信技術を用いて
人と道路と車両とを情報でネットワークすることにより、
交通事故、渋滞などといった
道路交通問題の解決を目的とした新しい交通システム)
など、政府需要を取りこみながら、
今後もこの業界は安定成長を遂げそうです。

<参考銘柄>

■『騰訊控股』(00700):
中国のインターネットサービス大手。
最近、発表された2011年期末決算における純利益は
前年比26.7%増の102億300万元。
EPS(1株当たり利益)は5.609元で、
株主配当として0.75香港ドルが提案されています。
同期の売上高は45.05%増の284億9600万元で、
内訳はインターネット付加価サービス値(IVAS)収入が
48.8%増の230億4000万元、
携帯電話付加価値サービス(MVAS)収入が
20.4%増の32億7000万元。
ショートメールやオンラインゲームが全体の収入を押し上げ。
広告収入は45.2%増の19億9000万元でした。

同社は最近、中国のソフトウエアメーカーである
『金山軟件』(03888)の権益15.68%を
8億9000万香港ドルで買収すると発表。
『金山軟件』はPC向けオンラインゲームや携帯電話用ゲームのほか、
セキュリティソフトなどの開発にも従事しており、
主力製品のアンチウイルスソフト
「奇虎360的殺毒」の市場シェアは63.5%にも達しているため、
今回の提携は中長期的に同社の業績にプラスの影響を与えそうです。
同社の2011−13年における純利益の伸びは
平均28%と予想されますが、
これは保守的なもので、
今後の業績内容次第では上方修正される可能性が高いとされます。


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2012年6月4日(月

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当ページは、投資勧誘を目的として作成されたものではありません。
あくまで情報提供を目的としたものであり、一部主観及び意見が含まれている場合もあります。
個別銘柄にかかる最終的な投資判断は、ご自身の判断でなさるようお願いいたします。


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