|   第190回 
          セメント及び建材の本格的な需要回復は2013年から 
           
          セクター分析、今回は「セメント、建材」など2分野をピックアップ。 
          現地取材や証券会社の最新レポートなどをもとに、 
          業界の現状や見通し、関連企業の今後の展望などを占ってみました。 
           
          不動産開発やインフラ投資のスローダウンを受けて、 
          セメントや建材需要の伸びは一旦、鈍化。 
          中央政府の肝いりで 
          保障性住宅(政府が低中所得世帯に提供する、 
          基準と価格、賃料の限定された住宅) 
          の建設が進められているものの、市場の見方は冷静。 
          そのため、このセクターの関連銘柄のパフォーマンスは 
          あまりパッとしません。 
           
          セメント、ガラスなど関連製品の見通しは以下の通りです。 
        ☆セメント: 
          上で述べた通り、ここしばらく需要の伸びは停滞。 
          石炭や電力価格の上昇も今後の収益に一定の影を落としそうです。 
          高速鉄道や原子力発電所などの建設スピードが 
          ふたたびアップするのは、早くても今年、後半から。 
          本格的な需要増は胡錦濤氏から 
          習近平氏への政権交代が完了する13年になるでしょう。 
          ただ、このところの株価下落を受け、 
          関連銘柄のPER(株価収益率)は軒並み低位にあるので、 
          長期的にみれば押し目の好機。 
          『中国建材』(03323)など 
          大手の収益動向に注目したいところです。 
        ☆ガラス: 
          生産プラントの拡充が進んでいたところに、 
          不動産開発のスローダウンや 
          自動車販売の伸び悩みといったマイナス材料が出てきたため、 
          現在、需給バランスは全体的にルーズな状況にあります。 
          しかし、防音や断熱性に優れるLOW−Eガラス、 
          太陽光発電ガラス、液晶ディスプレイ(LCD)や 
          プラズマディスプレイ(PDP)用の超薄型ガラスなど、 
          ハイエンド製品に関しては、政府のテコ入れなどもあり、 
          長期的な投資妙味は大きそうです。 
        <参考銘柄> 
           
          ☆『中国建材』(03323): 
          『西南セメント』の設立を発表 
          親会社である『中国建築材料集団』と 
          その子会社である『北新集団』『中国建築材料進出口』 
          『中国建築材料科学研究院』『信達資産管理』の資産を注入して 
          設立された総合建材メーカー。 
          1.セメント、2.ガラス、3.軽量建材、4.工場建設請負、 
          の四大業務を手掛けています。 
        不動産業界から需要が減少するとの観測を受けて、 
          このところの株価は冴えませんが、 
          保障性住宅の建設加速や、鉄道建設プロジェクトの再開などを受けて、 
          今年第2四半期ごろから 
          セメント需要はふたたび拡大するとみられます。 
           
          『中聯水泥』『南方水泥』『北方水泥』などの 
          子会社を擁する同社の営業エリアは 
          淮海、東南、東北地域をカバーしていますが、 
          今後は新たに設立した『西南セメント』を軸に西南地域に進行。 
          同業他社の買収を進める構えです。 
          同地域のセメント価格は華東地域などと比べて 
          低い水準にあるため、今後の値上がりが期待されています。 
         |