|   第193回 
          「ホワイトカラー」が需要を決起するアパレル業界 
           
          今回は改めて中国のアパレル業界の先行きをチェックしてみましょう。 
        経済成長のスローダウンやインフレ、天候不順などの要因により、 
          中国のアパレル業界 
          (ここではスポーツウエアやシューズなどを含む) 
          の売上高はこのところ鈍化傾向。 
          EU諸国向けの輸出鈍化などを受けた中国の景気後退などから、 
          今後もこの傾向は続きそうで、 
          アパレル業界の売上高は全体的に低迷しています。 
        ただ、高価格帯のハイエンド商品などは、 
          富裕層の増加の追い風を受け、販売は堅調。 
          ボストンを本拠とするコンサルティング会社 
          『ベイン・アンド・カンパニー』の予測によると、 
          ハイエンド商品の売上高は今後も30%以上のペースで 
          拡大を続けるとされます。 
          以下は製品別の見通しです。 
        ☆女性向けシューズ: 
          高等教育を受けた20−30代の社会進出が進むにつれ、 
          いわゆる「ホワイトカラー」が台頭。 
          今後、この世代が中国の消費を牽引していくとみられますが、 
          女性向けシューズは大手による寡占が進み、 
          小売価格も比較的安定しているため、 
          『百麗国際』(01880)などがこの恩恵を受けそうです。 
        ☆男性向けカジュアルウエア: 
          女性ものと異なり、この業界は産業能力集中度が低く、 
          市場競争がそれほど激しくないため、 
          今後の伸びシロは大きいものがあります。 
          『利郎』(01234)、『利邦』(00891)など、 
          香港に上場する企業の販売ルートは直営店が主で、 
          テナント料の上昇などによる、 
          売上高総利益率の鈍化などが懸念されますが、 
          今年の第1四半期分の受注額が25−30%の増となるなど、 
          好調なため、その業績は安定成長路線をキープしそうです。 
        中国においてアパレル関連の売上が消費全体に占める割合は 
          約10%、その市場規模は1兆元以上とされますが、 
          “十二五計画”(第12次5ヵ年計画/2010〜15年) 
          においては「経済構造の戦略的調整」が重要視され、 
          これまでの「外需」から 
          「内需」(消費)への転換が打ち出されているため、 
          このセクターも基本的にこの恩恵を受けると予想されます。 
        また今後、このセクターの成長のカギは 
          オンラインストアになりそうです。 
          中国における著名インターネット通販サイトは 
          「淘宝商城」「東京商城」などがありますが、 
          オンラインストアにおける販売価格は伝統的な店頭販売のものより 
          安価に設定されているため、その売上高はここ数年、急増。 
          「淘宝商城」の販売額は2009年の53億9700万元から、 
          10年には250億元へ、363.2%の成長をみせています。 
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