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          第94回 
          お国柄がでやすいパン、でにくいケーキ 
        中国で仕事をするようになって3年を超えましたが、 
          未だに身近な事でもわからないこと 
          (面白いこととも言えます)だらけといった感じです。 
          わからないのは私だけではなく、 
          恐らく当の中国人に質問してもわからなければ、 
          偉い学者さんに尋ねても明確な回答は得られないと思います。 
        わからないことのひとつに 
          “パンの味には国民性がでるけど、ケーキの味にはでにくい” 
          というものがあります。 
          当社でも色々なデータを得るための手段のひとつとして、 
          試食会を定期的に開いています。 
          この試食会の参加者は当然ながら、 
          我々が狙っている中国人の富裕層の方々に 
          協力いただいているのですが、 
          全く予想していなかった結果がでることがあり、 
          私自身楽しみにしています。 
        この試食会を通じてわかったことが 
          “パンとケーキの評価に対する大きな違い”だったのです。 
          ケーキの試食会の結果は、 
          日本人、中国人、台湾、香港、欧米、 
          あまり変わりがありません。 
          例えば当社のティラミスのレベルを調査しようと思い、 
          他社のティラミスも買って試食してもらうのですが 
          「A・B・C、どのティラミスが美味しいですか?」 
          との問いへの回答は、 
          70%はA社・20%はB社、10%はC社といった具合に 
          “美味しいものは美味しい”と、 
          国籍の偏りがない万国共通の味覚判断がケーキにはされ、 
          我々の想定とほぼ同じ結果が毎回でています。 
          要は私達が“美味しい、不味い”と感じる日本人の味覚と、 
          中国人をはじめとする外国人の味覚の差が少ないのです。 
        しかし、パンは全く違います。 
          私たち日本人が食べたら 
          “うわぁ不味い!”と心の底から思うパンが 
          圧倒的な支持を受けたり、 
          逆に美味しいと思っているパンが 
          中国人から“不味い!”というジャッジを下されることも 
          少なくありません。 
          例をいくつか挙げますと、 
          まず日本人が大好きなカレーパン。 
          しかし中国人は大嫌いです。 
        フランスパンもそうです。 
          中国式のフニャフニャのフランスパンに比べ、 
          デンマークから取り寄せた専用釜で 
          蒸気をあてて高温で一気に焼き上げた自信作である 
          当社のフランスパンですが、 
          悲しいことに中国人のお客様からは 
          “硬くて不味い”と言う評価をいただいています。 
        確かにアンケートの結果通り、 
          当社のフランスパン購入者の80%以上は欧米人で、 
          中国人のお客様に人気があるのが、 
          何十年も前に日本で流行ったやわらかいミルクコッペパンです。 
          なぜ、パンとケーキでこんなに違うのでしょうか? 
          どなたかすっきりする答えを 
          ご存知の方はいっらっしゃいませんか!? 
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