夜の銀座をご存知?・浅川夏樹

酔ったふりして本当のことを

第13回
守秘義務とは

よく、銀座のクラブで働いていると伝えると
「株のインサイダー情報とかあるの?」
と質問されることがございます。

わたしが働いていたクラブは
財界のお客様がよくいらっしゃっていましたが、
そのようなお話は残念ながらございませんでした。
ドラマではピロートークで
会社の大事な秘密を漏らしてしまうといったシーンもありますが、
実際には企業のトップになられる方達は、
リスクヘッジに腐心なさっておられますから、
飲んでいる時でもしっかりされています。

わたしが知っているかぎり、
銀座で一流といわれるクラブはマスメディアには登場いたしません。
マスメディアへは取材拒否を徹底しております。

不思議に思われるかもしれませんが、
政財界のお客様は、安心して遊べることを望んでおられるので、
行きつけのクラブが目立つことがお嫌いです。

メディアに登場したクラブの女性と食事をしているだけで、
あらぬ疑いをかけられたら大変です。

夜の銀座は「セキュリティーとしての守秘義務」を徹底することで、
お客様に「安心」を提供しているのです。

わたしも、お客様にお礼状をお書きしておりましたが、
封筒にはお店の名前は記載しませんでした。
守秘義務を徹底するビジネスで有名なのが
プライベートバンクですが、
老舗のプライベートバンクで働くプライベートバンカーが
マスメディアに登場するのを見たことがありません。

わたしは、海外の銀行に口座を開設しておりますが、
毎月届けられる運用ステイトメントの封筒には、
銀行の住所はP.O Box ですし、銀行名も記載されておりません。

近年、
「銀座らしいお客様がめっきり減った」
というクラブ関係者の声も聞きますが、
会社のメールアドレスに営業メールを送る、
お客様への案内状をワープロで印刷をしたり、
お店の名前が堂々と書かれている封筒で郵送したりといった
簡単で便利な安上りなサービスに
憤慨されるお客様も少なくはありません。

夜の銀座でトップを目指すホステスは常に
「お客様の利益とは何か」を考えて行動することを求められます。
そのためには、守秘義務の履行と
オーダーメイドのサービスははずせないのです。


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2010年7月13日(火)

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