夜の銀座をご存知?・浅川夏樹

酔ったふりして本当のことを

第15回
リスクテイカー

銀座のクラブは「一見さんお断り」の会員制です。
会員制といっても、お客様は会員カードがあるわけでもなく、
登録するわけでもありません。
なので、銀座のクラブで遊ぶには、
既存のお客様がご同伴されてお連れするか、
クラブで働くホステスが招待するしか手段がありません。

これは、お客様の質を保つためでもありますが、
働くホステスのためでもあります。
ホステスは、担当のお客様の飲食代金を
ご来店日から60日以内に入金してもらえなければ、
お店に立替をしなければならないので
支払いを保証してくれる紹介者の方が必要なのです。

しかし、お支払いが安全だと思っていたお客様が突然、
何らからの事情でお支払いが困難になることがございます。
こうなると、パニック状態で2つに1つしかありません。
そのお客様が復活されるのを待つか、
不良債権として取り扱うかです。
お客様の未収の飲食代金は容赦なくお給料から差し引かれますので、
生活をするのも苦しい時もありました。

ホステスのお給料で支払えればいいのですが、
100万円のお給料をもらうためには
250万円〜300万円の売り上げの未収リスクを抱えるわけなので、
お店は働くホステスに保証人をつけます。
つまり、銀座で働く「売り上げ」と呼ばれているホステスには、
それぞれ保証人がいるわけです。

考えてみれば、保証人の方は、利息はつきませんが、
ホステスの売り上げには上限はありませんから、
リスクは無限大です。
夜の銀座の最終的なリスクテイカーは、ホステスの保証人ですが、
金融投資の最終的なリスクテイカーは個人投資家です。

リスクは損失と思われがちですが、
適切に管理することで回避することが可能です。
結局は、良い話も悪い話も人を通じて伝わりますから、
良い人間関係が全てです。

ホステスの商品価値は売上成績ですが、
財産はお客様とその人脈ということになるわけです。


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2010年7月20日(火)

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