夜の銀座をご存知?・浅川夏樹

酔ったふりして本当のことを

第20回
プリムール

前回、お伝えしたように、
高級ワインの現物は、金融危機以降最も上昇した資産で、
2009年5月には金融危機前の価格水準に戻っていましたので、
株式よりも回復が早かったです。
ワインは年々消費され、希少価値になることから、
長期の資産運用には適していると思います。

しかし、今年のボルドーのプリムール価格には驚きを隠せません。

プリムールとは、未だ樽の中のある状態で販売される、
簡単にいえば先物のようなものです。
着工前のマンションを購入するのと似ています。
ボルドーワインは、樽の中で2年ぐらい熟成され、
瓶詰にされて販売されますが、造り手のシャトー側は、
資金調達のために樽の中にある状態で販売もするのです。

ボルドーワインは、プリムールで販売されるリリース価格は、
2年後に瓶詰にされて売出されるときよりも安く購入できるため、
ヴィンテージの評価が高ければ、その後の価格上昇も大きいのです。

プリムール商戦は、毎年4月末ぐらいから
ネゴシアンを通じてワイン業者に通達されますが、
今年は6月になってから価格が決定したことから
随分焦らされました。

2010年に販売されるのは、2009年に収穫したワインですが、
2009年産はワイン評論家のロバート・パーカー氏が
「ボルドーの過去32年のサンプル・テイスティングでは、
自身の経験でも最良のポテンシャルを有している」
と評価したこともありますが、
リリース価格とワイン業者から届いた価格に驚きました。

昨年、わたしが購入した 2008 Ch Lafite は、
リリース価格が 1,590ポンドで、
ワイン業者を通じて購入した金額は2倍ぐらいでした。
今では、1ケース1万ポンドで取引されています。

それが、2009 Ch Lafite のリリース価格は、13,500ポンドです!
プリムールは、瞬時に売れてしまうので
予めワイン業者にデポジットをしておいたのですが、
予想価格をはるかに上回っていたので
Ch Lafite は1ケースだけ購入しました。
正直、こんな価格で飲みたいと思う日本人は
少ないのではないでしょうか。

2009年の価格をオーバープライスでバブルという懸念もありますが、
新興諸国のワイン需要を考えると、
あらたな価格形成の環境が創造されたと
考えられなくもない状況です。

いずれにしても、お店で良心的に提供するためには、
ボルドー以外のワインにも
目を向けていく必要があるだろうと思います。


←前回記事へ

2010年8月21日(土)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ