夜の銀座をご存知?・浅川夏樹

酔ったふりして本当のことを

第29回
夜の銀座の男

夜の銀座を想像される時に、
華やかなホステス達を想像されるかもしれませんが、
マスコミに登場しない一流の老舗には、必ずといっていいほど、
そのお店を代表する「黒服」の男性スタッフがいます。

ホステスは、ホステス自身が資本ですので、
資本を回転させるために、
よりお給料の高いお店に移籍してお給料を増やします。
日本の企業では同業他社に転職されるということは少ないですが、
夜の銀座では、ホステスの移籍は日常茶飯事です。

一流クラブでは、ホステスが他店に移籍する際は、
次のお店が売掛金を一括立替いたします。
例えば、現在のお店で売掛金が3000万円あった場合、
次に移籍するお店が、入店までに売掛金の3000万円を
以前のお店に立替返済をし、
ホステスと新たに売掛金の返済方法について契約をします。

この仕組みがあるおかげで、
夜の銀座ではホステスは働くお店を選ぶことができ、
常にチャンスを手にいれることが可能になるわけです。

こうした取決めを仕切るのが、「黒服」の仕事になります。
優秀な黒服には、
その黒服を信頼しているホステスが沢山いますので、
黒服がお店を移る時は、その黒服が担当しているホステス達も
一緒にお店を移ることがあります。

中には、ホステス顔負で
月に数百万円も売上げがある男性もおります。

何事も一人前になるのには、10年くらいかかります。
トイレ掃除から始まり、
ホステスのモーニング・コール
(ホステスの愚痴も聞かなくてなりません)、
営業中にお客様の席にホステスを配置する仕事
(最も文句を受ける仕事)をこなして、
ようやく、お客様の席につかせてもらえるようになります。

一流クラブほど、
働くホステスには常に敬語で対応しなくてはなりません。
ホステスの我が侭や文句にも対応しなくてはならず、
各ホステスの生理日から生理用品のメーカーも覚えて
手配する黒服もおります。

黒服が働くホステスに対等な言葉遣いをするスタッフもおりますが、
その雰囲気は接客の時にお客様に悟られます。

八百屋さんに例えれば、
「うちのトマトはあまり美味しくないけれど、値段は高いですよ」
と言っているようなもので、
お客様にはホステスという高額な商品を
安く扱っているように見えるのです。

お店の愚痴は、お店の格や品位を落しているようなものですから、
ストレスがたまる職種ですが、
「人脈」という大きな財産を手にいれられる仕事であることは、
間違いないでしょう。


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2010年9月25日(土)

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