夜の銀座をご存知?・浅川夏樹

酔ったふりして本当のことを

第41回
銀座の老舗BAR オリオンズ

先日、久しぶりに銀座の老舗BARオリオンズに
お店に新しく入店した女性スタッフとお伺いしました。
店内は、良き銀座の時代にタイムスリップしたような雰囲気です。
働くバーテンダーの方達もお客様達も昔から変わりません。

オリオンズは世界的に有名なバーテンダー、
故澤井慶明氏がオープンさせたお店です。
クラブ時代も海外からの酒類メーカーのお客様に
「Do you know Mr SAWAI?」と何度も聞かれたように、
日本を代表するバーテンダーであり、
日本のバーテンダー協会の重鎮の方でした。

わたしは、オリオンズにデビューしたのは幼稚園の時です。
当時、銀座で割烹を経営していた母と澤井氏が昔からの知りあいで、
小さい頃から夕方に何度か訪れたことがあります。

澤井氏は、小さいわたしを連れて、
銀座の街を散歩しながら風月堂でゴーフルを買ってくれました。
ローストビーフを初めて食べたのもオリオンズでした。
澤井氏は、わたしの銀座の父なのです。

わたしのクラブ時代も
「この娘は、俺の娘(みたいなもの)」
とクラブのお客様に言われるので、
お客様がよく誤解したり、混乱していました。

わたしが、最初のショットバーをオープンする時に、澤井氏に
「誰かいいバーテンダーの方、いないかな・・」
と相談すると、澤井氏は
「いいバーテンダーは探すものではなく、育てるものだ」
と言われました。

結局、最初のBARは、
澤井氏がベテランのバーテンダーの方を探してくれ、
「話は全部つけているから安心してお店を任せない」
と言ってくれ、何もお礼ができないわたしに

「俺には、元気な顔をたまに見せてくれればいい。
これからは自分の店のスタッフを大事にしてやれ」
と思いやりのある言葉をかけてくれました。

澤井さんのお店オリオンズで働き、
独立されてお店をオープンした方も沢山おります。
電通通りの8丁目にある BAR RAGEのオーナーである
北添氏もその一人です。

いい経営者とは、その手腕だけでなく、
優秀な人材を沢山育てた方なのではないでしょうか。
これは、水商売の世界だけでなく、
どの業界にも通じることではないかと思います。

今でも澤井氏が育てたバーテンダーの方達に
あらゆる思いが受継がれており、教えていただくことが多いです。


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2010年11月13日(土)

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