夜の銀座をご存知?・浅川夏樹

酔ったふりして本当のことを

第42回
ETF 下落ヘッジ編

先日のコラムで新興諸国への投資手段が
銀座のお客様と個人投資家で異なる点をお伝えしました。
同じく、機関投資家の方と個人投資家の方で異なるのが
ETF(上場投資信託)への興味です。

わたしが、金融危機後に『ETF』を執筆したのは、
ETFは流動性と透明性があるからです。
日本では多くの方が、
インデックスと同じに捉えている方が多いのですが、
海外ではあらゆる資産クラスのETFが販売されており、
米国のETFの運用資産は1兆ドルを超えました。

ETFは上昇相場でも下落相場でもリターンを狙えるだけでなく、
レバレッジがかけられたETFが株式だけでなく、
コモディティを対象とした商品でも販売されています。

わたしの香港の運用アドバイザーも
2008年の金融危機時にポートフォリオの大半を
売却が可能であり、透明性がある
ETFを組入れた運用を提案してくれました。

本の発売後に機関投資家の方が
最も興味を持って問い合わせをされてきたのが、
米国債のショートETFです。
通常、個人投資家が国債を空売りするのは容易ではありませんが、
ProShares Ultra Short 20+ Year Treasury(TBT)を購入すれば、
長期国債に値動きに逆に2倍で動くように設定されています。

わたしが TBTを購入したのは、
2008年12月に過去50年間で初めてS&P500構成銘柄の配当利回りが
10年国債の利回りを上回った時です。
TBTは、米国債価格が下落し、
利回りが上昇することで収益を狙えます。
現在の量的緩和策のツケに対するヘッジ商品みたいなものです。

TBTが販売されたのは、2008年4月末ですから、
リーマンショック前です。
当時、大手金融関係者に米国債のショートETFが販売され、
個人投資家にも購入できるようになったことを伝えると、
「それは、キリスト教徒が神に生命保険をかけるようなことだ」
と驚かれていました。

既に米国債のショートETFは3倍のレバレッジがかけられる、
Direxion 20 + Year Treasury Bear 3X Shares(TMV)も
登場しています。

こうしたETFの登場からも推測できますが、
現在の金融危機に対処するための巨額の財政出動と
金融緩和とによって造り出された流動性が
次のバブル形成とその崩壊とを引き起すことで
次の危機で大きな利益を得ることを狙っているように思えます。

世界の秩序や経済モデルが大きく変わってきている時にこそ、
ETFの商品ラインナップに注目しています。





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2010年11月16日(火)

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