夜の銀座をご存知?・浅川夏樹

酔ったふりして本当のことを

第71回
REIT

夜の銀座で、いらっしゃるお客様の話題で多いのは
「親の介護」です。
クラブのオーナーママも、子供もいない女の独身では、
自分の老後も考えておかなければならない問題です。

とくに東京は人口が多く、
行政が提供している特養施設は空きがない状態です。
介護付き有料老人ホームは、入居一時金が最低でも500万円以上、
毎月の支払い費用は30万円近くします。

日本では、介護セクターにリスクマネーがほとんどはいっておらず、
高齢者施設を対象とする不動産ファンドは設立されていますが、
米国のように医療や介護施設を対象とした、
上場したヘルスケアREITがありません。

介護系の高齢者住宅の特化型ファンドの運営会社
リエゾン・パートナーズの代表取締役の秋元二郎氏は、
以前次のようにおっしゃっていました。

「介護施設は、高額な入居一時金に依存した事業モデルではなく、
賃貸住宅のように入居者の住替えの自由度を確保させ、
運営の透明性をもたせるためにも、
資本市場からのリスクマネーの供給は不可欠です」

不動産ファンドも不動産投資のノウハウをもって
介護施設を対象とした投資に活かすことは出来ますが、
デメリットは介護事業運営の透明性がないことです。
一部の不届きな介護業者の不祥事もあり、
この点をクリアにしないと必要な分野に資金が集りません。

上場REITであれば、株式、債券、通貨、コモディティと同じく
透明性のある商品設計が可能です。
政府が、介護保険の一部で破綻リスクを下支えするか、
売却益にかかる税金を非課税にすれば、
通常のREITよりも若干分配金が低くても、
長期安定という観点から退職者の資産運用にも適しています。
また、上場REITであれば、
世界の投資家から資金を集めることも可能です。

証券市場から資金を確保することができれば、
事業者の不動産コストが大幅に下がることで、
必要な施設がもっと手の届く範囲で
提供されていくことだろうと思います。

J-REITの投資先は、オフィスビルを中心としていますが、
ITの技術進歩によってペーパーレスの時代になり、
大量の資料を保管するスペースは必要ありません。
働く人もオンラインでビデオミーティングができる時代ですから、
広いオフィスは必ずしも必要としなくなる業種も
増えてくると思います。

こうした観点から、わたしは、
現在の J-REIT には投資対象として興味がなく、
介護や医療に特化した J-REIT の創設に期待しています。





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2011年3月12日(土)

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