夜の銀座をご存知?・浅川夏樹

酔ったふりして本当のことを

第75回
試練

このような状況でも、お店にいらしゃってくださるお客様もおり、
「銀座は日本経済の元気の象徴だから、我々も頑張るけど、
君たちもその灯を消さないように頑張って欲しい!」
と元気づけられるお言葉をいただいております。

原発についていろいろな議論がされております。
銀座のお客様は、今回の事故で危険を再認識したとしても、
今後の課題は多々ありますが
電力の安定供給に必要不可欠だと思っていらっしゃる方が殆どです。

何より、被災地のインフラを早急に整えなくてはなりませんので、
現段階で政治家の脱原発についての発言は
適切ではないように思えます。

あるお客様は、日本で津波があった時に香港におり、
津波の報道の数時間後に
福島の原発で放射能漏れの可能性の報道を聞いたそうです。
急いで日本に帰国する手配をしていると、
「なぜ、危険な日本に帰国するのか?」
と現地のスタッフに言われたそうです。

「日本に帰国することに何の躊躇いもなかったし、
俺みたいな団塊世代が危険なことを負うべきだと思う。
還暦を迎えて、子供も大人になった。
この先、自分の寿命が10年、20年縮まっても悔いはないよ」

連日、原発事故の責任追求や
真実の隠ぺいへの不信感ばかりが取沙汰されておりますが、
他の団塊の世代のお客様達も無責任に責任追求をするのではなく、
現実を受入れて前者のお客様と同じようなことをおっしゃいます。

銀座のお客様からよく聞く言葉は、
省庁の方は「予算」、政治家の方は「資金」、
企業の方は「認可」、金融機関の方は「前例がない」です。
原発に関しては、官僚の方の天下り先の裾野は広く、
国家予算を動かす権力の構図が変わるのは容易でないと思われます。

何も考えさせず、
失敗もさせない代わりに成長させないことも愛情かもしれませんが、
日本の国家債務が極限に達している状況下で復興していくために、
わたし達の世代は増税の負担、
安全面から原発を停止するのであれば、
電力不足が深刻化して物価が上昇してしまう覚悟を
政府に示す時なのかもしれません。

震災は多くの悲劇を生みましたが、
大事な人がそこにいることが全てなのだと気付きました。





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2011年3月29日(火)

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