第79回
日本国債の暴落はあるか?(2)
前回に続き、『日本国債 暴落のシナリオ』の共著者の一人である
田代秀敏氏との対談です。
浅川(以下A):輸入インフレによる金利上昇の面もあるのでは?
とりわけ、原油価格の高騰は日本にとってよくないですよね。
田代氏(以下T):円安と原油高とが重なると
輸入インフレイションが起き、金利への上昇圧力になります。
A:今回の震災で今までと何が異なりますか?
T:この10年間、ゼロ金利とゼロ成長とによって
国債を買い支えることで国債暴落を回避する
「死に至る均衡」が続けられてきました。
しかし、震災と原発事故とで「死に至る均衡」は持続不可能になり、
日本の財政破綻が回避不能と
外国人が見切ってしまうことも想定されます。
A:海外では食品だけでなく、
日本製品の入港拒否などが起こっています。
今の「官邸主導」の情報発信では外交の根回しができていないのか、
海外では過剰反応になっていて輸出企業は厳しいですね。
T:震災で被害を受けた工場の再建あるいは海外への移転のために、
あるいは、復興特需に応えるための先行投資のために、
企業が内部留保を実物投資に振り向けると、
金利への上昇圧力になります。
復興特需期待あるいは海外移転のために
企業が国債から設備投資へ資金をシフトすると、
日本国債暴落のXデイが早まります。
A:日銀が復興債の引受けをするという案もでていましたが、
白川総裁は
「中央銀行はいったん国債の直接引き受け手に着手すれば、
通貨に対する信認も失われる恐れがある」と反対を述べていました。
大震災の後に起きる金融危機の懸念が大きくなり、
今後、わたし達は何を知っておくべきでしょうか?
T:関東大震災の4年後に昭和金融恐慌が起きました。
東日本大震災で発生した巨額の不良債権の処理を誤れば
平成金融恐慌が起きます。
国民は自粛を止めて日本経済のメルトダウンを回避しながら、
同時に、収入源と資産運用とを国際的に分散すべきです。
A:「収入源と資産運用とを国際的に分散すべきです」について、
もう少し具体的にご説明していただいてもよろしいでしょうか。
<次回へ続く>
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