夜の銀座をご存知?・浅川夏樹

酔ったふりして本当のことを

第88回
香港 人民元オフショア市場

先日、お店にいらしたお客様が
人民元(RMB)を保有したいとおっしゃったので、わたしが
「香港の銀行は、香港のATMで預金を現金を引出す時に
香港ドルとRMBを選べますよ」と伝えると、
不思議そうな顔をされました。

香港では、居住者は既に人民元預金ができますが、
非居住者は、人民元預金はできません。
既に決済通貨は香港ドルと同様に人民元が使用できますが、
ATMで引出せるので、
「あれ? 人民元は管理通貨で持出し制限があったよね!?」
と不思議でした。
あの小さなマシーンの中で、
米ドルとペックしている香港ドルが
RMBにキャリートレードしているように思えてなりません。

香港では人民元オフショア市場が創設され、
人民元建て債券に投資できるようになるそうです。
現在、人民元建ての中国本土のA株への投資は、
海外の適格海外機関投資家制度
(qualified foreign institutional investors = QFII)に限られ、
投資家はQFIIを通じてファンドへの投資が可能です。
香港の銀行は投資枠の上限が引き上げられるのかもしれません。

ここでいうオフショアは、地理的な概念ではなく、
金融の機能に関する概念ですが、
意外なことに、オフショアは日本にもあります。
「東京オフショア市場」は、1986年に創設されていますが、
法人所得税や地方税の免除はありませんし、
住所を持っていないので会社を登記することができません。
日本の居住者にとって意味のないオフショアですが、
グローバル企業にとっても意味のないオフショアだと思います。

東京オフショア市場の創設は、
東京を東アジアの金融センターにするチャンスだったと思いますが、
センターとなる機関を収容するビルをどこに建設するかといった
箱物行政の視点ばかりが争われ、
免税措置をどうするかといった本質的なことは
論じられませんでした。

今後、香港の人民元オフショア市場の動向は興味深いです。
Bloomberg の報道によれば、
大手ヘッジファンドが第1・四半期に
ETF(上場投信)iShares FTSE China 25 Index Fund(FXI)を
少なくとも700万株取得していると、
証券取引委員会(SEC)への提出書類で明らかになっています。
ヘッジファドは、同ETFが急反発、
急落したケースに備えてオプションのポジションも
積み増しているそうです。

中国A株への投資は、香港市場に上場する
ETF iShares FTSE A50 China Index(2823)に投資が可能であり、
香港の銀行で毎月同ETFの積立ができますので、
リスクを分散しながらリターンを狙うことも可能かもしれません。


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2011年6月7日(火)

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