第96回
稼ぐことができても資産は増えない（２）

現在、わたしのクラブ時代のヘルプのホステス達は、
クラブのママになって頑張っています。
その中には、夜の銀座から数年離れており、
戻ってきた女性も何人かいます。

その後輩ママ達が、今のお茶屋BARに顔をだしてくれますが、
「あの時、お姉さんが言っていたことが、
最近よくわかるようになった」と言います。
そして、お店の若いホステスにいろいろと教えています。

当時は「どうして、この子は
意味がわからないのだろう・・」と思っていました。

山登りと同じで、五合目で見える景色と、
頂上で見える景色は異なります。
実際にその立場になり、経験してみないと
実感できないことは沢山あります。
　
今は解らなくても、同じ立場になった時に
「そういえば、こんな事を言っていたな・・」
と思いだしてくれればいいと思うようになりました。

後輩のママ達も、そろそろ将来の事を考えなくてはならず、
雇われママとしてもう一踏張りするか、
独立して自分でクラブをオープンするか・・、
悩みはつきませんが、先立つものは資金です。

わたしのクラブ時代は先輩から
「銀座のホステスは、付き合う男性ごとに
貯金通帳をわけておかないと駄目よ」
とアドバイスされたものですが、
今の時代は、もっと自力で頑張らなくてはいけないわけです。

とにかく、何かしておかないといけないという焦りから、
あっちこっちの金融機関で、
小口でいろいろな金融商品を購入している女性もおります。
彼女は「卵は１つのカゴに入れるな」という投資の格言から
このような行動になったようです。

わたしが
「それじゃ、カゴは幾つあって、
そのカゴの中に幾つ卵が入っているか全て把握しているの？」
と尋ねると、
「全然わからない?」とシマッタという顔をしました。

稼ぐことも大事ですが、資産運用も大事です。
しかし、手当り次第に金融商品に手をつけてもお金は増えません。

「自分のリスク許容度に合った資産配分を行い、
資産全体の配分をちゃんと把握出来ていなければ、
リバランスもできないよ。
そして、キャッシュ（現金）がないと
チャンスを掴み損ねるよ」と伝えると、
「これから、頑張りまーす」と明るく答えました。

溢れる金融商品から絞込む作業は
それなりに大変だと思いますが、
長くお客様の支持を得る努力をし続けた彼女達なら、
立直りも早く、シンプルに考えれば
資産運用もうまくいくと思います。