第2回
トシをとってからのヒンシュクは金を出してでも買え
私は歳をとってもゲートボールだけはしたくありません。
ゲームとしては面白そうだし、健康にも良いにちがいありません。
しかし、問題はあのウエアです。
ゲートボールのウエアというのはどうしてドドメ色なのでしょうか?
グレーとかエンジ色とか。
しかも、もっと透明感があるならまだしも、濁った色なのです。
みんながこんな色のウエアを着ているのですから、
よーく、目を凝らさないと
どれが女性でどれが男性なのか全然わかりません。
完全にユニセックス化した世界なのです。
数年前の夏、ニューヨークはカーネギーホールで行われる
コンサートに行きました。
コンサートに来る高齢者カップルは、
みなさん70代、80代なのですがとてもおしゃれなのです。
男性はベージュのコットンパンツに濃紺のブレザー。
レジメンタルタイとボタンダウンのシャツ。
同じスタイルでもシャツとネクタイの色は
それぞれきれいな色あわせをなさっています。
女性は真っ白な髪に真紅のワンピース、
それに合わせた真紅のイヤリングとマニキュア。
こんな二人が手をつないで地下鉄の駅から歩いてくる姿は素敵です。
こうでなくてはいけません。
私が思うに、日本人のおしゃれを最も邪魔しているのは
「世間の目=同調圧力」です。
「こんなトシになって真っ赤なんて着ていると
他人になんと言われるか」というやつです。
人生は短いのです。
そんな人たちにかまっている暇はありません。
いくつになろうと、きれいな色の服を着て女性は女性であることを、
男性は男性であることを死ぬまで楽しむのです。
何があろうと、「世間の目」に屈服し、
ドドメ色の服を着てユニセックスの世界に入ってはならないのです。
昔、角川書店の編集長が
「若いときのヒンシュクは金を出してでも買え。」
と言うのを聞いて
「いいこと言うなぁ。」と感心しましたが、
トシをとるにしたがって考えが変わりました。
この言葉は正しくはこうです。
「トシをとってからのヒンシュクは金を出しても買え。」
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