第73回
未然に防ぐ

先日講習会でお会いした先生のお話が印象的でした。

以前、その先生は救急医療の現場で
アメリカのテレビドラマ
“ER”さながらの日々をおくっていたとの事。
1,600人の患者さんを受け入れて、
なんとかその場で命を救ったとしても
一ヵ月後に無事に生きているのは約45人。
必死にとりくんでもこの生存率3%という数字を見た途端、
「なんの為の医療なのか」と悩んだそうです。

そしてだした結論は“予防しかない”。
病院という待ちの姿勢から、
予防という働きかけの立場へと
180度の方向転換をしたのです。
病院にくる人は、“痛みや苦しさからの解放”
という明確な目的がありますから、
ターゲットがしっかりしぼられています。
けれどそうでない人はどうでしょう?
病院に来ない人すべてが対象者ともいえる
このとてつもなく広〜い人たちを相手に、
どれだけの事ができるのか。
「闇に向かって鉄砲を撃つようなもの」
とも言えるでしょうね。

けれどこの未然に防ぐというところに、
私たちのような運動を指導する人間の出る幕がでてきます。
よりベストなからだへと内側から変化を求めていくには、
習慣や食事を変えるだけではなく、
からだを動かす時間をあえて設けていくところに
大切なポイントがひそんでいます。

その楽しさ、爽快さ、そして目に見える効果を
その人のからだの中と心に働きかけ植え付ける事が、
私たちの役割なのだなぁと、
先生のお話を聞きながらあらためて再確認したのです。
そしてこの教室の方向も、ピッタシ合っている!と
やる気満々になった私なのでした。


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