第152回
車椅子バスケットボール

先日、初めて車椅子バスケットボールの練習試合を
見に行ってきました。
このチームの監督兼チームドクターである辻 秀一先生は
シドニーパラリンピックのチームドクターでもあり、
国内大会はもちろん、
アメリカで行われている車椅子バスケットボール大会にも
積極的に選手参加を呼びかけ遠征。
その活動の広さには目を見張るものを感じていました。
私自身も自分が行う種目以外の大会を生で見に行く事が
最近めっきりと少なくなっていたので
どのような展開になるのか楽しみにしながら出かけました。

始まった途端、そのスピード感と激しいぶつかり合いが
コートに熱気として充満していきます。
攻防の末、車椅子ごと転ぶ事たびたび。
なかなか起き上がれない選手もいます。
また良く鍛えられた立派な腕には
日頃の練習成果が備わっていて
迫力においてなんら他の種目と変わらない光景に
“アスリート”の姿を見ましたね。

また、初めて見る光景に
ルールの違いや公平さを保つ為の工夫も
新しい発見でした。
どういうものかというと、
まず選手の身体的特徴の重さを点数化して
5人の合計が14点以内におさまらなければなりません。
立ち上がることができない人は1〜1.5点。
立ち上がり伝い歩きができる人は3〜3.5点。
杖を使って、もしくは使わなくても自立歩行ができる人は
4〜4.5点が与えられていて、
それを超えるとファールとみなされるのです。
さらに、椅子の座面や背もたれの高さ、
傾斜具合にもそれぞれ違いがあり、
不公平が生じないように
細かな約束ごとの上で成り立っていました。

選手の1人と話をしてみると
「プレイ中、肺は苦しく息はバンバンあがる。
でも汗がでにくい。大きな筋肉(脚)が使われないから
なんとも不思議な状態になるのですよ」との事。
見えないところにもそんな違いがあるのですね。
他の種目、電動車椅子ラグビーでは
脊椎損傷をしている選手は体温を調節する為に
常に霧吹きを体中にかけて、
体温を意識的に下げる必要があるとか。
まだまだ知らない世界はたくさんあるのだなと
感じた1日でした。


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