第183回
時にはカメのように

普段の生活の中で
自分が動くスピードをダウンして
わざとゆっくり動くことってありますか?
私は以前ある競技選手の
「階段を上る時はわざとスピードダウンして
筋肉をまんべんなく使うようにしています。」
というコメントを読んだ時、
それまで“スタスタ上りは
カロリー消費が促進されるからいい事なのだ”と
思い込んでいた自分に気付きました。
“早い”だけがいいわけじゃない、
時にはジックリ刺激を与えることも必要なのだと。

では運動をする時にあえて
スピードをスローにする事でどんな変化が
からだで起こるのでしょうか。
まず言える事は、
今まで使われなかった筋肉に刺激を与える事で
からだの変化がこれまでよりも現れやすくなるという事。
それに動きそのものよりも
本来の“姿勢”という基本に意識が向けやすい為、
運動の持つ効果をダイレクトにかつ丁寧に
からだへ伝えることができるという点にあります。
そうすると、からだの奥にある
普段では感じ得ない筋肉が“働きだすからだ”になってきて
バランス力を備えるにも最適な環境が作り出されます。
また、からだは単純な動きでも数回繰り返すうちに
筋疲労を起こしてきて早くもとの姿勢にもどりたがります。
そこを少し我慢してスローに同じリズムを刻むことで
まんべんなくからだを使うことができるようになるのです。

雑誌に載っていた一枚の写真。
広大な草原にカラフルな服をまとったアフリカ人の男性が
ただポツンと佇んでいるだけ。
カメランマンが「何をしているのか」と訊ねると
「急ぎすぎた、だから休んでいる。」という返事。
私たちのからだにも
時にはこうして使い方のリズムに変化を与れば
また一味違ったからだの声が聞こえてくるのかもしれません。

さて次回は首の機能について。
肩こりと首の密接な関係を紐解いていきましょう。


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