第8回
今後長期の取引の可能性を示す
発注先のインド企業に良い仕事をさせるには、
契約書にこちらが望む業務の内容、レベル、
検証方法などを記載しておくことは言うまでもありません。
ただ、こちらを大事な顧客と扱わせる努力も、
それと同じ位重要なことになります。
インド人は金儲けにシビアで、
契約外の追加要求に対しては柔軟に対応ができない、
と思ってる人が多くいます。
それは事実ですが、
インドの業者と新たに取引を始めようとする場合には、
インド企業は、(大規模プロジェクトのような場合は別にして、)
目先の仕事の利益より、その顧客と将来にわたって
長い取引ができることの方により重きを置きます。
当社は、日本企業のインドでの
ビジネス・サポートをメインにしていますが、
インド企業の対日ビジネスのサポートもしています。
先日やったIT関連の案件では、
「この仕事をやりたいのなら、見積価格をまず下げて、
実績を積むことから始めるべきだ。」と言ったところ、
上司と相談して、見積金額をかなり下げてきました。
また数年前には、私がサポートしていたインドの
エンジニアリング企業が、日本で新規顧客から受注しましたが、
その際には、思いっきり価格破壊して受注しました。
インド企業は、そこに将来性が見えれば、
思い切った戦略をとるのです。
この背景には、インド企業にはオーナー企業が多く、
トップの一存で大胆で迅速な対応ができやすい、
ということもあります。
ですので、初めての取引先に対しては、
その仕事で相手が儲かることよりも、
その仕事次第で今後長期の取引を考えていることを
アピールする方が効果的です。
「長期的な関係の構築」という言葉は、
インド企業には大変効果的ですので、
「ここぞ!」という時には使ってください。
長期取引の可能性が見通せる場合には、
目先の仕事には、
思いっきりディスカウントもするし、
追加要求などにも柔軟に応じてくれることを覚えておいて下さい。 |