第31回
他宗教に寛容なヒンドゥー教
クリスマスが近づくと、
インド人から多くのクリスマスカードが届きます。
ヒンドゥー教というのは、他の宗教の行事にも寛容なのです。
この辺の感覚は、日本人とも通じると感じています。
チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世も、
2008年の国際テロ対策会議でインドの世俗的価値観を高く評価し、
「この国の宗教に対する寛容さは世界の国々への模範となる」
と述べています。
インドでは、ヒンドゥー教、仏教、ジャイナ教、シーク教など、
いろいろな宗教が生まれており、
インドは宗教的寛容性の伝統を持っているのです。
インドにおける宗教の寛容性を表しているものとして、
エローラの石窟があります。
エローラ石窟は、5世紀から10世紀の間に造られた
仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教の石窟寺院などから
構成されています。
それぞれの宗教の寺院は近接しており、
作られた時期も重なっていることは、
インドにおける宗教の寛容性を表している、と言われています。
ヒンドゥー教は、基本的に他の宗教を敵対視していませんし、
他宗教の人にヒンドゥーへの
改宗を勧めたりもしてきませんでした。
このことは、平和主義的で温和なインド人気質に
つながっているのでしょう。
そしてインド人は、他宗教へと同様自身の宗教にも寛容です。
先日会ったシーク教徒のインド人ですが、
彼にはアメリカ留学中の高校生がいます。
そのお子さんは、
アメリカでは牛肉を食べていると言っていました。
もちろんヒンドゥーの教えに
厳格なインド人の方が多いのですが、
このあたりのインド人の鷹揚な感覚は、
日本人にとっても付き合いやすいものです。
話をインド人からのクリスマスカードに戻すと、
中にあるメッセージには、
「あなた、あなたの家族や友達皆が、楽しいクリスマスと、
幸せで明るい新年を迎えられるように願っております。」
というような暖かい言葉が添えられています。
日本の年賀状でも、
より気持ちを入れることを心がけるようにしたいものです。
|