インド・ビジネスの勘所  土肥 克彦

日本でインドやバングラデシュなどの国に向けたビジネスを行う
土肥克彦さんのインド・ビジネス成功のための小話集

第52回
賃上げ要求への対応

インド人を雇ったり、インド企業に何かを発注する側にとって、
必ず問題になることは、雇用者側、受託者側からの賃金、
あるいは受託料の引き上げ要求への対応です。

まず基本的に要求するインド人の側は、
自分の周りの人、同業者、奥さんや親の意見、
そしてインドの国内情勢や
世界情勢などについて知った上で要求をしている、
ということを頭に置いておかなければなりません。
また、インド人は、周りの人の賃金、
他社の賃金水準を知って要求しています。
もちろん、ダメ元で要求してくる場合もありますけど...。

以前インドの日系自動車メーカー各社で起きたストも、
物価上昇やそれに対応して賃上げをしている
他社の状況があったからです。

雇用者(受託者)側は情報収集して要求するのですから、
要求を受ける側も、賃金水準やインフレなどの社会情勢など、
普段からよく注目して、知っておかないと全然勝負になりません。

ただインド人が知っているのは賃金水準だけでなく、
自分の社内での立場、
すなわち十分貢献しているか否かも知っています。

十分に貢献できていない人、
貢献はあっても、例え会社側がやめられても
特に困らない人は、
その賃上げ要求が毎年はねつけられたとしても
会社を辞めません。

私の知人の日本在住のインド人のひとりは、
以前から「賃金が上がらない」といつも文句を言っていました。
彼は、インドの本社から経営幹部が来日した際には、
毎回賃上げの要求をしています。
しかし、いつもはねつけられています。
ですが、彼はずっと今でも同じ会社にいます。

インド人は賃上げ要求は頻繁にありますが、
自分の客観的な位置もしっかり把握していますので、
過剰に恐れる事はありません。
もちろん、できる人を安い給与のままにしておく事は、
必ず転職につながりますのでいけません。
あくまでも、彼のスキルとの見合いで、
適正な給与であることだけに注目し、決定してください。





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2012年2月23日(木)

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