インド・ビジネスの勘所  土肥 克彦

日本でインドやバングラデシュなどの国に向けたビジネスを行う
土肥克彦さんのインド・ビジネス成功のための小話集

第53回
最初は安く、徐々に上げてやる

インド企業は、新規の取引開始の際、
基本的に最初の仕事で儲けるよりも、長期的な関係を築き、
継続的に仕事を受注できるような関係の構築を望みます。
それは、その方がその会社にとって
長期的にメリットが大きいからです。
また、最初の仕事で失敗するリスクを避けたい
という意向もあります。

ですので、発注側としては
長期的取引の可能性と意思を示しつつ、その試金石として、
最初は小さな仕事から出していくというのが、
良いやり方だと思います。

インド企業の描く取引のつなげ方は、
小さい仕事をしていく中で、
顧客とのコミュ二ケーションを通じて、改善しながら、
次第に大きな仕事へつなげていくというものです。
これにより、その顧客との付き合い方や、
その顧客を担当する社員の育成にもつながります。

このような背景からインド企業は、
最初の仕事はそれに続く長期的関係の始まり
という位置づけで、全力で取ろうとします。
従って受注金額では、
かなりのディスカウント要求にも応えてくれます。
場合によっては、タダで受けてくれる場合もあります。

そして、最初の仕事が成功裏に終わり、
継続的な取引関係になってくると、
徐々に要求金額を引き上げてくるようになります。
ここで、それまでのその会社の仕事が合格点であった場合は、
今度はこちらにとって必要な存在になった訳ですので、
そうした要求には少しづつ
応えていくようにしなければなりません。

ですので、コストメリットを最大限生かすには、
最初の案件はできる限り低い価格で発注して、
以後の上げ余地を確保しておくようにした方が良いでしょう。
その際には、次第に価格水準が上がっていくのと平行して、
要求品質も挙げていかなければなりません。
同時に、新たな発注先の開拓をする、
というサイクルを繰り返すことになります。

この記事は、先日既存の発注先から
金額アップのサイン(前兆)があったため、
改めて考え方を整理してみたものでした。





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2012年2月28日(火)

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