インド・ビジネスの勘所  土肥 克彦

日本でインドやバングラデシュなどの国に向けたビジネスを行う
土肥克彦さんのインド・ビジネス成功のための小話集

第70回
インド式経営にボトムアップを加味する

インド経済の成長に伴い、
インドの企業経営者の優秀さがよく語られます。
実際インドの中堅以上の社長の多くは、
若い頃に欧米に留学経験があり、
グローバル・マインドにあふれ、人脈も豊富で、相当優秀です。

一方で、インド企業には問題もあります。
それは、インドのサラリーマンは、
とにかく(自分の処遇を決める)上司を向いて
仕事をし過ぎているということです。

インド企業では、
多くが上司にお伺いを立ててからでないと返事ができません。
ですので、物事を決めるのに時間がかかるのです。
トップの経営判断は速いのですが。

昨年、私がその日本事業を支援しているインド企業の
子会社トップが来日し、
東京で一緒に営業活動を行いました。
来日したインド人トップは、
親会社のオーナーが前任者を降格させた上で
米大手企業から引き抜いて連れてきた人です。

彼は理論は良いのですが、日本企業との面会では、
「当社が提供するサービスは御社に付加価値を与え、
収益の向上に寄与するものである」という、
思いっきり直球勝負で終始まくし立てました。
言ってることは間違いないのですが、
要は「買え、買え」ということですので、
受け手の日本企業の側には、
やや引き気味の雰囲気がありました。

会議の後私はそのインド企業トップに、
先にこっちから何かGIVEして、
その後TAKEするような方法論の方が
日本では良いのではないか、と話しました。
彼は自分の考えを主張しつつも、
日本でのやり方について多少は学んだようでした。
そのインド企業の日本支店勤務のインド人社員も、
私と同じ意見のようでしたが、
自社のトップには意見しずらいようでした。

今は、インド市場自体が伸びているので問題はないのですが、
今後こうした体制では壁に当たりそうな気もします。

日本の経営者は、
インドの経営者の良いところを見て学ぶし、
インドの企業は日本企業のボトムアップ力、
現場力を学び取り入れていく必要があると感じます。





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2012年4月26日(木)

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