インド・ビジネスの勘所  土肥 克彦

日本でインドやバングラデシュなどの国に向けたビジネスを行う
土肥克彦さんのインド・ビジネス成功のための小話集

第101
顧客志向の考えが浸透してきている

私がインド企業と付き合い始めた20年前は、
経済の自由化したところで、
まだまだ古い社会主義的な影響も残り
官僚体質も社会に残り、顧客志向ができていませんでした。

こちら側がバイヤーとして質問しても回答は遅いし、
商品説明の資料も十分ではありませんでした。
また、成長が見られてきたソフト開発の分野では、
ちょっとした仕様変更にも厳しく、
インド側からの質問に対するこちらの回答の時間管理も
厳しいものでした。
自分が回答する場合には、ゆっくりしているくせにです。

それが、国営企業の民営化や、
欧米企業との付き合いの経験を積むにつれ、
今では顧客志向の考え方もだいぶ浸透してきています。

例えば、インド企業が輸出商談の前段階として
サンプルを送る場合、かなりの程度まで、
無料で送ってくれるようになってきています。
これは、そうしてでも、取引を始めた方が、
長期的には得だということがわかってきたからでしょう。

また以前はまとまった量でないと
輸出してくれないことも多かったのですが、
最近では少量でも応じてくれるようになってきています。
これには、私が自分のインド人パートナーの力を
うまく活用できるようになったこともあるでしょうが、
社会の雰囲気のの変化が見られます。

ただ、それでも、官公庁から何かを教えてもらったり、
資料を見せてもらったりしたい場合には、
何度も足を運ぶ必要があったり、
国営企業の対応はまだまだ十分ではありません。

さらに、繊維や製造業など、
比較的古い業界で経営者も古い会社の中には、
まだまだ昔のやり方を変えきれない会社も多くあります。
そういう企業を相手にする場合に、
彼らから顧客志向の良い条件を引き出そうとする場合は、
相手企業の社長や経営幹部など、
社内的に力を持ってる人と話をする必要があります。

いずれにしても、
インド企業に顧客志向の考えが浸透してきたことで、
仕事自体はかなりやりやすくなっていることは確かです。


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2012年8月14日(火)

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