第9回
お金の性格の第一は「金銭無情」
お金の性格について言えば、
まず第一に「金銭無情」であろう。
何十年、馴染んできたお金でも、形勢不利とみたら、
すぐに逃げ出してしまう。
しかもその逃げ足の速いこと。
中国の諺に、「人間は二つ足、 お金は四つ足」
というのがあるが、いざ逃げ出したら、
人間の足ではとうてい追いつかない。
その情け容赦のない性格を勘定に入れておかないと、
ひどい目にあわされる。
第二に、「淋しがり屋」である。
お金はひとりでいると、孤独恐怖症にかかるとみえて、
いつも仲間のたくさんいるところへ集まりたがる。
とりわけ貧乏人とは折り合いが悪く、
顔を見た途端に出て行こうとする。
貧乏人の方でも、お金には未練がないから、
「まあ、上がっていらっしゃい」などと言う人は少なく、
顔を見た途端に玄関払いをしてしまう。
第三に、お金は「稀代の臆病者」である。
風声鶴唳にも浮足立つというが、
ちょっとでも身に危険を感ずるようになると、
もうその場にいない。
ある時期、日本でグリーン・カード制を実施しようとしたら、
これまで銀行に姿をひそめていた巨額のお金が
黄金の延べ棒やゼロ・クーポンに化けて、
たちまち税務署の目につかない姿に変わったのを見てもわかる。
第四に、そのくせして「甘えん坊」で、
大事にしてくれる人の言うことを聞き、
婿に出しても、嫁にやっても、すぐに子を連れて帰ってくる。
ことほど左様に「人見知りが激しく」、
そのまま家出して二度とシキイを跨がないこともあれば、
子供をぎょうさん連れて戻ってくることもある。
どちらになるかは、扱う人の態度次第ということになる。
つまり、お金の居つきやすいような環境づくりから始めないと、
お金持ちにはとうていなれないのである。
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