第17回
お金を大事にしなければ金持ちにはなれない
「お金儲けがうまい」ということと、
「金ができる」「金が貯まる」ということは、もう一つ別のことである。
したがって、金儲けがうまいからといって金持ちになるとは限らないし、
反対に金儲けが下手だったら、一生、金と縁がないかというと、
そんなこともない。
金持ちになる人とそうでない人の分かれ目は、
お金を大事にするかどうか、にかかっているからである。
いくらお金儲けがうまくても、
気前よく金を使ってしまう人は、
「右から左」「左から右」とお金の通過していく
特急の無停車駅みたいなものである。
金が貯まる人は、特別むずかしい作業をやっているわけではなくて、
入ってくる金に比して
出ていく金の量を少なくしているだけのことである。
もちろん、入口を広く、出口を狭く、ということは、
言うべくしてなかなか実行できないことである。
だから、「金は三角〈三欠く〉に貯まる」
つまり、義理を欠き、人情を欠き、交際を欠く、
のでなければ貯まらないなどといわれる。
親戚づきあいから友達づきあいまで、
他人から陰ロをきかれないようにしようと思えば、
貯蓄するいとまがない。
とにかく、あるまとまった金ができるまでは、
何と言われようと頑張って
金を貯めるのだという人がある。
これも程度の問題だが、
かなり堅固な意志を持たないと貯まらないのは真実である。
金を貯める要領は何かというと、
第一に、お金を大事にすることである。
お金の値打ちを知っている人は、お金を大事に扱う。
第二に、小さな金もバカにせず、
小さな無駄も省こうと努力することである。
同じサラリーマンをやっていても、
金の貯まる人とそうでない人の違いは、
一方がケチケチ細かく倹約をするのに対して、
もう一方はどうせ倹約しても知れている。
倹約するよりも金の儲かる方法を探すほうが肝心だと思うところにある。
そう言って真剣になって金の儲かる方法を探すなら、
それも金持ちへの道に通じるが、
たいていは無駄金を使う自分に対する言いわけにすぎないから、
いつまでたってもピーピーしているのである。
わずかな収入しかない人が、
その中から節約をして金を貯めるのは「日暮れて道遠し」の観があると
おっしゃるかも知れない。
しかし、蝸牛の歩みでも、亀の歩みでも、
物のたとえにあるとおり決してバカにはならない。
百万円貯めるのには異常な努力がいるが、
百万円から二百万円、二百万円から四百万円といった倍数は、
ずっと加速度がついてくる。
それに倹約をする人は、世間も信用するし、
金融機関も金を貸してくれるようになるから、
ただバカのーつ覚えみたいに積立貯蓄ばかり繰り返していることはなくなる。
ある程度、お金が貯まってくると、
その金額に応じただけの才覚も生まれてくるので、
では株を買ってみようか、
不動産の投資をしようかと少しずつ実行できるようになる。
したがって、インフレでどうなろうと、
消費が美徳の世の中になろうと、
金持ちへの基本姿勢は金の値打ちを知り、
倹約することであることに変わりはない。
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