目標は「中金」持ち!

第18回
十万石といえども、もとは一粒

お金持ちになりたい。
しかし、爪に火をともすようなケチなことをやらないで、
楽をしてなる方法はないだろうか、と誰でも一応は考える。

「百万長者と結婚する方法」という
マリリン・モンローの映画などは、
そういう万人共通の欲望に投じたものであろう。

百万長者(円になおせば、億万長者)とうまく結婚すれば、
たちどころにお金持ちになれるのだから、
女のほうが男よりも労少なくして
目的を達成できる可能性を持っていることは確かである。
そのためには美人に生まれることが先決条件であろう。

しかし、すべての女性が美人に生まれてくるわけではないし、
仮に美人に生まれたとしても、
必ずしも億万長者にめぐりあえるわけではないから、
宝クジに当るような、
そんな確率の低い賭けはおやめになった方がよいと思う。

では、ほかに金持ちになる方法はないだろうか。
もちろん、たいていのお金持ちさんは
自分の力で億万長者になったのだから、
方法は必ずあるはずだ。
その方法についてみんなの頭に浮かんでくるのは、
たとえばロックフェラーのように
石油を掘りあてることだとか、
フォードのように自動車王になることとか、
日本でいえば、松下電器の社長や
大正製薬の社長になることだ、ぐらいのことかも知れない。
でなければ、株で相場を張って成功することだろう。

もしそうだとしたら、
そういう好運をつかむのは並たいていのことではないから、
最初からあきらめてしまった方がよいだろう。

ところが、世の中はそういう大金持ちが
必ずしも金の苦労をしていないわけではなく、
大金持ちは大金持ちなりに
金の心配をし、金の不足に悩まされている。

悩む数字のケタが少し上になっているだけのことで、
金持ちも貧乏人も本質的に大差がない。
だから大金持ちになった人に向かって、
「あなたがお金持ちになった秘訣を教えてください」
と聞いたとしよう。

本人はきっとこう答えるだろう。
「それは倹約のたまものです」と。
あなたは本人が石油を掘りあてたとか、
うまく時流に乗るような事業に成功したからと答えると思ったら、
あてがはずれる。
金持ちになった人たちは、
決してうまいアイデアで楽に金を儲けたなどと思っていない。
一所懸命苦労をして、
たまたまお金が入るようになったときも、
身についた倹約を守り続けて、
お金を貯めたせいだと信じている。

つまり金持ちへの道は、
倹約から始まるものであって、
決して派手な金儲けによるものではないのである。

もしそうだとしたら、
誰でも金持ちへの門をくぐることはできそうだ。
金儲けの才能はないけれども、
自分の手に入った収入を
できるだけ節約して出さないようにすることなら、
できないことではないからである。
ところが、この一見やさしそうに見えることが
意外にもむずかしい。

日本で勤倹貯蓄の神様にまつりあげられている二宮尊徳は、
あちこちの大名や旗本から
藩政や家政の建て直しを頼まれて、
その内情に通ずるようになったが、
大金持ちであるべき大名の台所が火の車であるのを見て、
「十万石といえども特別大粒の米ではない。
一粒一粒が集まって十万石になるのだ」
「それなのに、十万石の収入がありながら金に困るのは、
おひつの中で餓死するようなものだ」
とあきれはてている。

尊徳翁は財政の建て直しを頼まれると、
引き受ける条件として、
必ず自分の決めた生活費の範囲内で暮らすことを守らせた。
そして、一歩一歩「小を積んで大を致す」
ことが要諦であると力説した。

ところで、あなたにも、このルールが守れる だろうか。





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2013年12月18日(水)

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