目標は「中金」持ち!

第22
二十代、三十代の貯蓄が中年からのゆとりを生む

人気商売をやっている人とか、
名人になれるかなれないかで
収入に大きな差の出る勝負師だとか、
画家、音楽家、作家のように
仕事のあるなしで収入が左右される職種についている人は、
自衛上、お金のやりくりを強制されるので、
どうしてもお金に関心を持たざるを得なくなる。

しかし、そういう人は浮世のしきたりに合わせることが苦手で
商人にもサラリーマンにもならなかった人々だから、
お金のやりくりが性に合わない人が多い。

文化勲章をもらうような画家や
陶芸家が自分の作品の値段の交渉をしているのでは
カッコがつかないのも事実であろう。

そういう人はたいていマネージャーを持っている。
奥さんがマネージャーを務めている人も多い。
ということは収入の不安定な亭主を持っていると、
家計を安定させるためにどうしても
奥さんが金銭に強くならざるを得なくなり、
お金の交渉は奥さんが買って出ることになるからである。

このことは、夫婦という共同生活をしているカップルの中で、
どちらか一方に経済観念があれば
家計は成り立つということにほかならず、
自分は経済オンチだという自覚のある人は、
配偶者を選ぶに際して計算のしっかりした人を選べば
何とか間に合うということでもある。

もっとも自分をふり返って見てもわかることだが、
若いときに配偶者を見つけるのに、
相手に経済観念があるか、もしくは金銭感覚があるか、
たしかめた上で結婚の対象に選ぶ人はまずない。

せいぜいのところ、「しっかりしている」とか、
「世帯持ちがよさそうだ」くらいの印象を持つ程度であって、
本当に世帯持ちがよいかどうかは
実際にお金を扱わせてみないと何ともわからない。

というより必要に迫られて世帯持ちのよくなる人が多いから、
人は環境に教えられてそうなると見て間違いなさそうである。
となると、中年になってから
経済的に余裕のできる人とそうでない人の分岐点は、
もう少し若い年齢の時点で、
そういう環境におかれるかどうかによって決まることになる。

中年のゆとりは中年になってから身につくのではなくて、
二十代、三十代の時点できまる。
もちろん、人によってその時期は違うだろうが、
学校を出てサラリーマンになった頃は
どいつもこいつも同じで、
サラリーをもらって
自分の生活を切り盛りする頃から少しずつ違いが出てくる。
とりわけ結婚をして世帯を持つ時期が決定的である。

近頃の若い人は結婚したからといって、
生活のスタイルが変わるわけではない。
夫婦共働きはすっかり定着してしまったし、
子供ができても一時休暇をもらうだけで、
子供を生むとまた職場へ戻るのが普通になった。

また夫婦になったからといって
二人分の収入をーつにして生活設計をする家庭よりも、
「あなたの収入はあなたの収入」
「私の収入は私の収入」とはっきり分けて、
生活費は双方が割り勘でいくとか、
あるいは、亭主の収入で生活をして、
女房の収入は貯蓄にまわすといったちゃっかり組が増えた。

ただし、その場合でも、
昔のように亭主の名前にして貯蓄する人は少なく、
女性の発言権が強ければ、奥さんの貯金通帳に入れられるし、
双方が譲り合ったとしても、
両者の共同所有になるのが関の山であろう。

奥さんも稼いでいる以上、それは当然のことであるが、
奥さんが働いていない場合でも、
夫婦財産の共有は社会的な習慣になったといってよいだろう。

もちろん、毎月きちんと貯金をするようになったからといって、
経済観念のある家庭ができたというわけではない。
しかし、毎月、計画的な貯金もしないで、
行き当たりばったりの生活をしているカップルに比べれば、
経済設計のできた家庭ということはできよう。

貯蓄は経済設計の始まりである。
中年になってから家計に余裕ができるかどうかも、
貯蓄の歴史が長いかどうかによって決まるし、
サラリーマンが途中で脱サラをする場合、
脱サラができるのも若干の貯蓄があることが前提になる。
だから若いときから貯蓄の習慣を身につけることが
金銭感覚を養う第一歩といってよいのである。





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2013年12月27日(金)

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