第29回
嫁に持つなら青鬼より赤鬼がいい
私に言わせると、どんな女房を妻に選ぶかは
人によって選択の基準が違う。
だから十人十色でその人の好みに従えばよいのだが、
人生を明るく生きようとすれば、
健康で明るい女房を選ぶのは絶対条件である。
たいていの人は嫁を選ぶにあたってあれこれあげつらうが、
嫁になる人が健康であることを
あたかも当然のことのように思い込んでいる。
ところが、すべての人が健康であるとは限らない。
私の友人の中にも奥さんが長患いをしたり、
病気がちな人がある。
ああいうのを見ていると、
本当にうちには病人がいなくてありがたいなあとつくづく思う。
また身体だけでなく、
気持ちの上でいつもふさぎ込んでいる
奥さんを持っている人を見ると、
旦那が気の毒になってくる。
反対に明るくて、こだわりのない奥さんを見ていると、
こんな奥さんを持った亭主はしあわせだな、と感心する。
そういう女の人は一体どんな人だろうか、
そういう人に共通の特長は何だろうか、と考えてみた。
そして、はたと気がついた。
大食い女こそ男にとって最大公約数の理想的な女性なのである。
男から見ると、女はみな鬼ババアである。
鬼には赤鬼と青鬼がある。
赤鬼はちょっとしたことでもすぐに逆上して、
たちまち顔に表わす。
気に入らないことがあると、
胸の中に隠しておけないから、ワーワーとわめき立てる。
その爆弾を落されたときはたまらないが、
赤鬼は根にもたないから、言いたいだけ言ってしまうと、
あとはケロリとしている。
それに比べると、青鬼は恨みがあっても、
胸の中にしっかりしまい込んで決して表に表わさない。
だから、そばにいても何を考えているのかさっばりわからない。
その代わりに恨みが恨みの上に山のように積み重なっていく。
表情に表わさない代わりに、たまりにたまった恨みを
長い時間をかけて心の中で何回も反芻しながら、
じっくりと時間をかけて仇を討つ。
さて、皆さんは赤鬼と青鬼とどちらを選ぶだろうか?
私が観察していると、
食欲があってガツガツと食べる女は赤鬼であり、
食欲がなくて胃袋の動きが順調でなく、
いつも小言ばかり言っている女は青鬼である。
どうせ鬼と生活することを免れられないのなら、
男はこのうちのどちらかを選ばなければならない。
そう考えて、うちの息子が嫁選びをするときも、
私はーつだけ条件をつけた。
デートをするようになったら、
まず相手の食べっぷりを見よ。
ガツガツと食べる女は身体も健康なら考え方も明るいから、
将来、足手まといにはならない。
私がそう言ったら、息子はガールフレンドを私に紹介するときは、
オヤジの前ではしっかり食べるんだぞと注意をしたそうだ。
おかげで私はとうとう青鬼にはいっぺんもめぐりあわなかった。
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