目標は「中金」持ち!

第40
未来に思いをいたして次の手を打つ

デフレになれば物価が下がるから、
同じ収入があれば暮らしやすくなるというが、
肝心の収入がそれ以上に減ってしまえば何の役にも立たない。

勤め先の業績が悪化して人員整理に入り、
運悪くこちらが整理の対象にされてしまったら、
失職をして物価の下がった
恩恵をこうむるどころの騒ぎでなくなる。

ましてや既に第一線から退いて、
年金と金利で生活をしている人にとって、
低金利ほど収入にこたえるものはないのである。

たとえば、現金で六千万円の貯金のある人は、
定期預金の金利が六パーセントあった時代には
年に三百六十万円の利息収入があった。
利息収入には税金がかからなかったから、
年に三百六十万円、月に三十万円の収入があれば、
老夫婦で人並みの生活を維持していくことができた。

金利に二〇パーセントの源泉税がかけられるようになってからも、
マル優があったり、国債の利息に対する免税があったりしたから、
少々頭を働かせたら大勢に変化はなかった。
ところが、公定歩合が
史上最低の〇・五パーセントまで引き下げられ、
定期預金の利率が〇・五パーセント前後となると、
六パーセントの十二分の一にすぎないから、
六千万円の年間利息はたったの三十万円ということになる。

この中から更に二〇パーセントを課税されたら、
手取りはわずか二十四万円になってしまう。
同じ預金の金利で一年間暮らせたのが、
一か月ももたなくなってしまったのだから、
金利生活族はまさに絶滅の危機に瀕していると言っても
過言ではない。
これが野鳥禽獣の類なら
天然記念物に指定してもらって保護の対象にしてもらえるが、
人間は特殊の技能を持っていない限り珍重されないから、
滅びるのは自由ということになる。

一か月で一年分の収入が消えてなくなるということになると、
元金に手をつけるよりほかなくなる。
もし六千万円を毎月三十万円ずつおろして消費するとなると、
二百か月はもつ。
死んだときの葬式の費用と病気のときに
入院する費用にいくらかかるか計算するのはむずかしいが、
仮に一割の六百万円を残しておくとすれば、
あと十五年はもつ。

いま七十歳の人なら八十五歳までに死ねばよいが、
もし死ななかったらどうするかという問題は残る。
まだ六十歳の人なら死なない可能性のほうが大きいから、
元金を崩して使うことは将来に大きな禍根を残す。
ということになると、
近い将来にデフレが解消して再び金利が上昇するのでない限り、
銀行預金をこのままおろして
使うわけにはいかないことがはっきりしている。

デフレのときは商売もむずかしいし、
株も不動産も値下がりをしているから、
怖くてそばにも近づけない。
だから金利にもならないことがわかっているのに、
お金はますます銀行に集まってくる。

皆がそういう行動をとるときに、
同じ行列のうしろに並ぶのは明らかに間違いである。
バブルのさなかに、
行列をして高いマンションを買うようなものである。
財テクに志を持つ者は、
少なくとも現状で物を判断するのはやめて、
未来に思いをいたして、
次なる手を打つべきではないだろうか。





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2014年2月7日(金)

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