目標は「中金」持ち!

第50回
ナンピン買いは自信と勇気のある人の特権

株を買う人は誰だって上がることを期待して株を買う。
買った途端に上げ始めて、
たちまち所期の成績を上げたといったことが
全くないとは言わないが、
そんなタイミングのよさに出くわすことは滅多にない。

というのは、「株が動き始めた」、
「株価が上げに転じた」とはっきり目につく頃は、
既にかなりの高値にきており、
はたしてこれから更に上げるのか、
それとも、もう天井に近いのか、
その時点では、判断しかねることが多いからである。

それはそれでよいとしても、
では、株はやはり動き出す前に買った方がいいのだろうか。
それとも動く前からじっくり腰を据えて
買った方がいいのだろうか。

動き出してから買うと、高値をつかまされる心配がある。
動き出す前に買うと、いつまで待たされるか、
見当もつかなくなる。
一番いいのは、動き出したハナに素早くそれを察知して
買い出動することであるが、
そんな器用なことはとてもできそうにない。
だからどうしても、産業界の変化と新しいトレンドを考えて、
その線上で陽の当たる株を選ぶことになる。
しかし、そうした株は自分にだけは有望株に見えるが、
他人には必ずしもそうは映らないから、
上げたと思ったら、また下げる。
もうこのへんでいいだろうと思ってナンピン買いをすると、
またまた下げたりする。

殊に大暴落のときなどは一体、
どうしたものかと迷って、
手を出さないで見送ってしまうことがある。
それでも、株をやる人にとって欠かせないテクニックの一つは
何といってもナンピンであろう。
ナンピンとは漢字で「難平」と書く。
買った株が値下がりをしたときに、
平均買値を下げるために、買い増しをすることを
ナンピン買いという。

売るときに、いっぺんに売ってしまわずに、
平均売値を上げるために、
小刻みに売値を上げて行く売り方をナンピン売りあがりという。
売りあがりのときは、
買った株の原価はわかっているから、
欲張るか、欲張らないか、だけのことであるが、
買うときのナンピンをやるかどうかは、
損をどこで食い止めるか、
株が戻り足になったときにどれだけ早く損を解消できるかの
瀬戸際に立っているわけだから、
どうしてもナンピンに対する考え方を
きちんと整理しておかなければならないと思う。

株をやる人にとって、ナンピンをやることは
常識といってよいが、ではどこでナンピンをかけたらよいか、
そのタイミングはいつか、ということになると、意外に難しい、
自分の買値を割った時点での買いはいずれもナンピンであるが、
ちょっと下げた時点はいいとしても、
あまり下げがきついと逆に恐怖心や不安感の方が先に立つ。

たとえば下げたときの新日鉄は
昭和六十一年(一九八六)の一月には
百六十八円という安値があった。
四百五十円まで上がったものが三百六十円に下がるとしたら、
二百円台まで下がることだってあり得ないことではない。
それを三百六十円でナンピンをして、
更に三百ニ十円になったらどう対処したものか。
もちろん、景気の情況全体をにらんで
判断しなければならないことだが、
景気が上昇気運に乗っているときは、
敢然として再ナンピン、再ナンピンといくよりほかない。

お金を持っている人にはそれができるが、
お金を持っている人でもそれをやれないと思う人が多い。
ナンピンは自信と勇気を持っている人の特権であるが、
自信と勇気のある人でも、鉄砲玉が尽きたら、
もうあとは続かないものである。

ではそういうときはどうすればよいか。
万策尽きたあとは、ふとんをかぶって寝てしまうよりほかない。
「朝の来ない夜はない」そうだから、
そのうちに夜が明けるのを待てばよいのである。





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2014年3月3日(月)

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