第66回
魚のうようよいるところに移った方がチャンスをつかめる
日本の社会は、既に国内市場がほぼ飽和点に
達してしまったこともあるが、
そこへ空前の円高が襲来したので、
物が外国に売れにくくなっただけでなく、
逆に安い外国製品が乱入して、
企業の採算がおかしくなってしまった。
企業の採算がおかしくなると、
業績が悪化するからまず株価が下がる。
企業は経費の節減をするために冗費を削ろうとするし、
不要になった人員を整理しようとするから、失業が増える。
これらすべての動きは需要を更に減退させて不景気を呼ぶから、
売地も下がれば家やオフィスを借りる人も少なくなる。
ついには家賃まで下がって資産からの収入が激減してしまう。
ならば、現金で持っておれば大丈夫かというと、
資金に対する需要も減少するから、
金利がどんどん下がって
一昔前の十分の一以下になってしまった。
その上、焦げつきの多い銀行に預金をして、
その銀行に倒産でもされると、
元も子もなくなってしまう。
いや、もうとっくに子は生まなくなってしまったのだから、
元そのものが戻ってこないことになりかねないのである。
こういうときは、
万一に備えて財産を三分して危険分散をした方がよろしい、
というのが財産三分法だが、
三分しても、どれもこれも大したことがない
ということになると、いったいどうしたらいいのだろうか。
まず、 いままでの延長線上で
物を考えてそれで間違いないのか、
それともこの際、発想の大転換をして
国際的に物を考えるべきなのか、
抜本的な頭の切り換えをしなければならない分岐点に
私たちは置かれている。
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