第69回
リスクを恐れるな。チャンスがあるかどうかが問題 その2
第二に必要なことは、
そうした危険を避けるためには、
一件の投資に全財産を集中しないことである。
当時のオランダやイギリスの商人たちを見ると、
一人で船一隻分の荷物を運ぶだけの資力を持った大富豪でも、
必ず仲間を募って百人とか、二百人で出資をし、
積極的に危険分散を行なった。
仮に船が遭難しても、損は百分のーですむし、
一隻に集中する代わりに複数の船に分散すれば、
うまく帰って来た船の儲けが損をした分をカバーしてくれる。
株式組織が早くからヨーロッパで発達したのも、
こうした現実的な必要から誕生したものだといわれている。
今後、中国やベトナムのような発展途上国で投資をする場合も、
こうした配慮は必要であろう。
第三は、自分が出資者になるのもいいが、
財をなそうと思えば、自ら率先して開拓者として
乗り出して行くことである。
もちろん有望な事業に出資をすれば、
立派な成果をもたらしてくれるだろうが、
生命を懸けて乗り出して行った人にはかなわない。
今日、アジア中に名を知られたジャーデン・マセソンでも、
あるいは、バターフィールド・アンド・スワイアでも、
いずれも開拓者時代に冒険を恐れなかった創業者たちによって
築かれたものである。
リスクをおかし、
リスクを克服して生き残った者が財をなしているのである。
だからリスクを恐れてはいけない。
リスクよりも、チャンスがあるかどうかが問題である。
チャンスはいつの時代でも、
社会秩序がすっかり整ってしまったあとよりも、
その前の未開拓の状態にあるときの方がずっと多い。
アメリカにおいてもそうだったし、
日本においてもそうだった。
だからお金を増やすチャンスを得たかったら、
先進国より発展途上国に行くべきだし、
もう少し賛沢を言わせてもらえば、
同じ発展途上国でもこれから経済成長の始まる
ちょうどスタート時点に立っている国の方がよい。
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