第70回
通貨の強くなる発展途上国が狙い目
もちろん、カントリー・リスクを
無視してもよいということではなくて、
同じようにカントリー・リスクがあっても、
それが比較的容易に克服できる
見込みのついた国を選ぶことである。
一般に経済の末発達な国セはどこも通貨の弱い国である。
しかし、いわゆる後進国のうちにも
経済が発展するにつれてインフレがとまり、
貿易黒字が増え、みるみる通貨が強くなっていく国と、
そうでない国とがある。
台湾、韓国に見られたように、
一般にアジアの国々ではそういう傾向があり、
メキシコやブラジルやアルゼンチンなどの中南米の国々では
通貨の安定が望めない。
経済が発展しかかっても通貨の不安定がそれを妨げる国々では、
政情不安が経済の発展を抑え込んでしまう。
反対に経済の発展が富の増大をもたらす国々では、
増大した富が政治体制を変え、通貨を強化して国を豊かにする。
そういう国にお金を持ち込むと、この国で富を生むだけでなく、
外貨に戻るときも有利になるから、
かつての日本がそうであったように
外国から投資した者に大きく報いてくれるのである。
そういった意味では、
海外投資にもそれなりの守るべき法則がある。
先ず金利を稼ぐためだけなら、
強い通貨に絞って弱い通貨は避けるべきである。
たとえば、ドルとマルクは
国際的にも認められた強い通貨であるが、
カナダやオーストラリアやニュージーランドは
残念ながら、その部類には入らない。
中国の元はおそらく将来強い通貨になる可能性が高いが、
まだ為替を統一されていて自由に分搬できないから、
外貨預金の対象には入らない。
したがって、外貨預金の対象として
そんなに心配しないですむのは
ドルだけということになってしまう。
それでは大して妙味がないと思うかもしれないが、
もともと定期預金はどんな通貨に換えても
大して妙味のあるものではないものなのである。
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