第71回
通貨の強くなる発展途上国が狙い目 その2
次に財産を分散して投資するなら発展途上国、
それも将来、通貨が強くなる可能性を秘めた発展途上国に限る。
その中ではNIESの国々が既に先進国の仲間に入りつつあるから、
リスクも少ない代わりにチャンスも少ない。
しかし、財産を1つの国に集中しないという原則に立てば、
分散の対象のーつに選ばれるだけの資格はある。
ただ将来のチャンスという観点からすれば、
中国、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、
インドネシアの方がずっと魅力的であろう。
もちろん、これらの国々の中には
外貨の制限をしているところもあるし、
よほどのコネを持たなければ、
危くて近寄れない国もあるから、
証券会社や投資会社に誘われただけで、
ハイハイと気軽に乗るわけにもいかない。
最後に、投資の対象を何に絞るかというと、
事業として直接投資をするのなら別だが、
資金を分散して効率的に投資するとすれば、
やはり不動産と株ということになろう。
なぜかというと、昭和三十五年から
約三十年にわたって日本の右肩上がりの成長経済が続いた中で、
最も値上がりを見せたのがほかならぬ土地と株だからである。
それと同じことが高度成長のプロセスで起こることは、
経済の原則からみてほとんど間違いないから、
アジアで経済の成長が始まっている地域で土地と株を買えばよい。
だからといって、土地か株であれば何でもよい
ということではもとよりない。
いまは目のつけどころをどこに絞るかを言っているのであって、
それを間違えないことが先ず第一である。
リスクを回避するための研究はそれからでいい。
かつての日本がそうであったように、
通貨の強くなる発展途上国に狙いを定めれば
追い風に乗ったようなものである。
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