第81回
国は大衆課税をしないと財政がもたないところまで追い込まれている その2
認めるとすれば、所得に応じて、
その一定の比率の控除を認めるのが
妥当だという結論に傾く。
ならば現行の給与所得控除のシステムで充分間に合うし、
問題はその比率が多くのサラリーマンを
満足させるものであるかどうかに絞られてくる。
つまり控除と税務の問題に逆戻りし、
必要経費の問題ではなくなってしまうのである。
もう一方の、
「自営業者の必要経費をうんと締めあげろ」という要求は、
「高額所得者の税率をもっと上げて
グウの音も出ないようにしてやれ」
という感情論と共通するものがある。
本当のところ、それができたら
溜飲が下がる人も少なくはないだろうが、
日本の国で誰が所得税の大半を負担しているかを調べたら、
とてもそんなことは言っておられない。
年収一千万円以上の人が
所得税の70パーセント以上を負担しており、
低額所得者はほんの僅かしか負担していないのが
現状だからである。
「こんなに免税点が高くて、
よく財政のやりくりができますね」と、
先進国のお役人から感心されているのが日本の税制である。
内閣の二つや三つ潰しても
消費税を成立させる決心をさせたのは、
もはや大衆課税をやらないでは
国家財政が成り立たなくなるところまで
追い込まれたからである、と見ることができる。
既にそういうところまで追い込まれているので、
消費税の創設と引きかえに、
中堅所得層の税率が引き下げられた。
世界的に見ても所得税の税率引き下げは、
レーガンがアメリカの所得税率を引き下げて以来、
世界各国に共通の傾向となっている。
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