第95回
世の中にはお金の儲かる商売と儲からない商売がある その2
こちらは立派な大学を出た人で、
見るからに教養もあり、
恐らく経営手腕だってそう見捨てたものではないだろう。
それでいて時世に合わない業種に従事しているばっかりに、
いくら精魂を傾けても、
傾きかけた事業をもとへ戻すことはできないでいる。
こういった例にいくつも出合っているうちに私は、
成功不成功を分けるのは努力ではないことに、
いやでも気づかざるを得なくなった。
というより、努力ではどうにもならない運命の分かれ目があって、
問題はそちらにあると思わざるを得なくなる。
つまりその時代時代によって、
時世に合った商売とそうでない商売があって、
うまく時世に合った商売を見つけた人は成功し、
それのできなかった人は成功から見放される。
こればかりは学歴とか能カとかとはあまり関係がない。
金の儲かる商売をうまく見つけた人が金持ちになるのであって、
多少の運不運はつきまとうにしても、
基本的にはそういう視点から仕事を探すべきである。
特に独立して事業をはじめる人にとっては、
何よりも正しい選択が欠かせない、
と私は大発見でもしたような気になったものである。
以来、どんな商売なら時世に合った商売で、
次にどんな変化が起こってチャンスはどこに移るか、
について私は人一倍注意を払うようになった。
世の中をいまある状態でとらえず、
動いて行く流れの中で把握することが大切だと思うようになった。
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