目標は「中金」持ち!

第96回
斜陽化のさなかに置かれたら脱出するほかない

今次のような大不況に見舞われると、
産業界全体の構造まで変ってしまう。
いわゆる構造不況に直面した業種は容赦なく淘汰されるし、
斜陽産業でなくとも、
過激な競争にさらされて優勝劣敗のひらきが大きくなる。

たとえば、自動車産業は斜陽産業ではないが、
激甚な競争の結果はトヨタと本田だけが
他のメーカーを大きく引き離して好業績をあげ、
日産や三菱やマツダは赤字のなかに身を沈めてしまった。
したがって、こういう業界では
生き残りを懸けた再編成が行なわれる。

クライスラーとベンツが合併したり、
ベンツが日産ディーゼルを傘下に入れたりするのも、
そうした動きの一環と見てよいだろう。

業界の再編成は銀行や証券会社や百貨店や
スーパーのチェーンにも起こり得る。
これらのサービス業や流通業が斜陽化しているかどうかについては
議論の余地もあろうが、
ある程度、市場のスケールがかたまって、
あとは業界におけるシェア争いになるとなれば、
共存共栄よりも食うか食われるかの争いになる。

マーケットが地球的規模に拡がった業種では、
国内における合併だけでなく、
国境をまたいだ買収合戦が当たり前になる。
この動きは今後ますます激しくなることはあっても、
沈静化することはないだろう。

それに比べると、
斜陽化する業種は合併や買収の対象になるどころか、
自然淘汰されるか、淘汰される前に自分からやめるよりほかない。
そういう立場に置かれた中小企業は日増しに増えており、
どこで見限るかによって、
傷がどのへんでおさまるかが決定される。

そうは言っても、いままで何十年もやってきた事業だとか、
親の代から受けついできた家業を見限ることだから、
そう簡単にできることではない。
いままでやったこともない仕事に転業することの不安もあるが、
現実に多くの人々を働かせて仕事をやっており、
給料支払日を前に金繰りに追われる身になってみれば、
今日と明日のことに気をとられて
明後日のことにまで考え及ばないのが普通であろう。

しかし、斜陽化のさなかに置かれると、
そこから脱出する以外にいくら焦ってももがいても、
問題を抜本的に解決することができなくなる。
何とかやりくりのできる場合もジリ貧になることは免れないし、
ある日突然、補給パイプが詰まると、心臓がとまりそうになる。





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2014年6月20日(金)

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