第110回
サラリーマンが準備すべきことは定年後の設計 その2
ところが、実際問題として、
定年になると、一応、まとまった退職金をもらえる代わりに、
それが体のいい手切れ金みたいになって、
もう会社には行けなくなる。
部下たちから送別会をしてもらい、
「時々は会社に姿を見せなさいよ」などと挨拶をされるが、
それを本気にして会社に出かけて行っても、
昔、自分が使っていた机には昔の部下だった人が坐っており、
昔の上司をどこに坐らせたらよいのか、
またどんな話をしたらよいのか、
当惑したような表情をされるのがおちである。
恐らく退職した人が一度は経験することだろうが、
「もうここは自分の来るところではない」
と悟らされて二度と会社に足が向かなくなるであろう。
何事も「終わりよければすべてよし」というが、
サラリーマン生活は、あとの準備ができていなかったら、
「後味の悪い」商売の1つである。
とくに一番最後が一番悪い。
無我夢中で一生懸命働いてきた、
一生を会社のために捧げてきた、
そういう気持ちがあればあるほど、
「何かを間違ったのではないか」
と思いたくなるような終着駅がそこに待っているのである。
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