目標は「中金」持ち!

第122回
失業はまたとない再出発のチャンス

いま社会で起こっていることは、
一口でいえば、経済のバランスが
崩れたことによってもたらされた混乱である。
この大混乱から立ち直るためには、
新しいバランスを求めて、消費者を増やすか、
生産を抑えるよりほかない。

ただし、成熟した社会で消費を増やすのも容易なことではないが、
生産を抑制するのはもっと難しい。
なぜならば、生産を抑制するというのは、
会社が操短をやる程度のことではなくて、
競争に打ち勝てない企業が倒産させられたり、
廃業させられたりすることにほかならないからである。
つまり、倒産と失業を伴う産業界の整理が必要なのである。

それも国内だけでなく、地球的規模で起こることだから、
混乱は世界中で起こるのである。

日本はこの四十年間にしっかり資本を溜め込んでいるし、
生産技術も温存されているから、
タイや韓国のような目に遭わされることにはならないと思うのは
間違いで、日本から資本や技術の提供を受けている国が
ピンチにおちいれば、日本も同じように被害を被る。

また高賃金ではやっていけなくなった業種が
競争に勝てなくなると、
日本国内でも同じように整理統合の動きが出てくる。
つまり戦後半世紀を経て、
豊かな国になったがために存続のできなくなってきた企業が
整理される段階に入ったり、企業が倒産し、
従業員が解雇される時代になったのである。

戦後五十年、スクラムを組んで
グループで生死を共にする日本の企業体では、
社内失業はあっても、
会社が解雇という手段に訴えることはまずなかった。

経済学の常識では、
三パーセント以下の失業率は完全雇用の部類に属するが、
この基準に照らし合わせれば、
日本は戦後この方、ずっと失業問題のない国であった。
会社にとって実際に必要のなくなった人でも
雇用保険を国に払ってもらう代わりに
会社がその面倒を見てきたのである。

その会社が存亡の危機に曝されるようになれば、
どんな寛容な会社でも背に腹は代えられなくなる。
それも銀行、証券、保険、不動産、ゼネコンといった分野で
決定的になり、
さらに流通業や製造業の分野にも及ぶことになれば、
会社の傘の中に入っておれば定年まで
雨にも曝れないですむと
安易に考えてきたサラリーマンたちにとって、
天地を揺るがすような大地震に見舞われたようなものである。
信じられないような話だが、
食うに困らない豊かな社会になったために、
日本は失業という新しい流行の只中に
置かれるようになったのである。





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2014年8月22日(金)

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