目標は「中金」持ち!

第132回
お金は儲けただけでは半成品

お金が大切なことは誰でもよくわかっているが、
お金をつくることが人生の目的ではない。
お金は使うためにある。
使って心の満足を得るためにある。
それさえも、死んでしまえば何もないのと同じである。

お金を持っていくらかでも意義があるとすれば、
それは人間が生きているからである。
だから生きている間に、それを使ってしまうか、
死んだあとに何に使われるようにしたいか、
決めておく必要がある。

せっかく持っているお金を不本意になくすよりは、
気に入ったなくし方をするほうがずっと気分がいい。
私がいつもよく言うことだが、
お金というものは儲けただけではまだ半成品で、
使って初めて完成品になる。
たいていの人は金儲けがむずかしいこともあって、
半成品にしただけで終わってしまう。
使う方は子供にしてもらって、
親子二代で完成品にしているのである。

だいたい金持ちの人は、
金儲けのむずかしさが身にしみているから、
節約の気持ちが先に立つ。
そういう人たちは、ものすごい心理的抵抗を乗り越えないと
お金が使えない。
だから金儲けには熱心でも、
それを使うのは下手な人が多いのである。

あるとき、台湾の金持ちの友人夫婦と、
私たち夫婦でパリで落ちあい、
ずっとヨーロッパ旅行をしたことがあった。
その友人はいつも、
「お金というものはなかなか使いきれないものですよね」
と言っていた。

ミラノに本店があるタニノ・クリスティという
靴屋のパリの店に入ったら、
とてもいいハンドバッグがあって、
値段を聞くと十万円くらいであった。
私たちは買いたいものがあったら、
高くてもその場ですぐに買ってしまわないと
買いそびれるという経験を何回もしているから、
家内はその場ですぐに買ってしまう。
しかし、むこうの奥さんはずいぶんと迷い、
「まだパリに三日いるから考えてからまた来ます」
といって出てしまった。
私は家内と顔を合わせて、
「なるほどお金がなかなか使いきれないわけがこれでわかりました」と
笑ってしまった。

買い物というのは、
もう一度よく考えてからと思ったもう買えるものではない。
清水の舞台から飛び降りるつもりで買わないといけない。
お金のある人ほど計算高いので、
心理的抵抗のほうが先になる。

金儲けもむずかしいけれど、
お金を使うことはもっとむずかしいのである。





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2014年9月29日(月)

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